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「殺し屋としては、”親”がいない方が楽かもしれませんね。”親”の機嫌一つで、明日を迎えられない可能性だってある」
葛城の目が真剣みを帯びる。
「それは言える。この家業で”親”と揉めるのは、金絡みだと相場が決まっている」
カスミの答えを聞いた葛城が、目を逸らす。
彼が公安を――警察を追放されたのは、裏金を使い過ぎたからだ。
ただ、転んでもタダでは起きないのが、葛城の性根の悪さだ。
アンダーグラウンドの経験を活かし、チャイニーズ・マフィアの情報収集家になった。表向きは過激週刊誌の記者として活動し、マフィアにとって有益な情報を集めている。
「ソロで殺し屋をやっているなら、仲間はいないのですか?」
「いる。銃火器の調達。保管と調整。偽造パスポートの準備。ソロでも殺し屋には仲間が多い」
また、葛城が目を逸らす。
彼が警察を追われた理由が、もう一つある。
仲間を見捨てたからだ。
日本警察は何があっても、警官殺しを許さない。
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