アスカの郵便飛行

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たたん、たたん、という規則正しいリズム。遠くのレールが鳴らすそれは、アスカを午睡へと誘うものだった。  先ほどブランチをとったアスカは自室のベッドでゆっくりとまどろんでいた。眠るか眠らないかの狭間にあるまどろみは、彼女に深い幸福感を与えていたのだった。  ドン!ドン!ドン!  突然、叩きつけられたノックにアスカは飛び起きた。ぼさぼさの髪に、半開きの目で、よろよろとベッドから立ち上がり、ドアを開く。 「起こしちゃいましたか?」 「見れば分からない?」  寝起きの苛立ちを事務員のベルにぶつけてしまったが、それは仕方がない。誰だって突然起こされれば不機嫌になるものだ。 「で、なに?事故?くだらないことだったら、ぶっ飛ばすからね」  アスカの目に映るベルの顔色は深刻なものだった。 「リンドバーグ飛行社の大型機が事故を起こしたみたいです。このままだと、郵便が時間通りに届かないって大騒ぎなんです」 「それにしたって、うちみたいな零細に回ってくるなんておかしくない?」 「緊急事態だからですよ!疑り深いんですから!」  ベルの切羽詰まった表情は、事件の深刻さを物語っていた。しかし、アスカには疑問が残った。 「大体、リンドバーグみたいな大手じゃ欠航なんて許されないだろうに。幾らの損失か分からない」 「だから、大変なんです!リンドバーグさんの大型が予備機含めて故障しちゃったんですから」 「それにしたって、同時故障は……」 「いいから、行ってください。もううちが担当しちゃったんですから!」  アスカは、納得がいかなかったが、決まってしまったなら仕方がないと、自分を納得させた。 「着替えるから、そうじろじろ見ないでくれ」 「普段からパンツ丸出しの貴女は恥ずかしいなんて思いませんよね。だらだら着替えるつもりですよね!」 「ばれたか。わかった。わかったから」  ベルが部屋から出て行ったのを見てから、アスカは飛行服への着替えを始める。着替えとして許される限度ぎりぎりの速度だ。 「よし、着替え終わった。今回の飛行経路と航空管制については?」 「もう、決まっています。あとは、アスカさんが飛ぶだけです」 「随分と抜かりないものだね。前から決まっていたみたいだ」  寮から、社屋までの間に、アスカはベルから事情を聴いていた。そこから得られたのは、やはり自分には気乗りがしない仕事だというものだった。 「積み荷は積み終わってる?」 「はい。積み終わってます」 「整備は済んでる?」 「はい。万全です」 「よしよし。おっと、アレは積んでくれた」  整備員のジイドは小さく首を縦に振った。どうやら、アスカが用意させたものはきちんと積み込まれているらしい。 「整備は出来てるみたい。まったく、嫌な仕事だねぇ」 「今回の飛行経路が書いてあります。目的地はリャクです」  リャクと聞いてアスカの嫌な予感は加速した。丘陵が多く、盆地に囲まれているリャクの飛行場は事故が多発する場所なのだ。  露骨に嫌な顔をしたアスカに、ベルは不快感を覚えた。郵便配達は重要な仕事なのだ。それをこの飛行士は嫌がっている。しかし、気分屋な飛行機乗りのアスカをやる気にさせる方法を賢明なベルは知っていた。 「お酒、おごってあげます」 「本当?なら、頑張っちゃおうかな」  アスカは酒が掛かると調子がいい。このアル中め。心の中でベルは悪態を付いた。 「回しまーす!!」 「OK!!」  ジイドがエナーシャハンドルを回し、アスカの機体のプロペラが回り始める。いつもならば、やらないことだが、今回は急いでいるのだ。仕方がない。 「じゃっ行ってくる」  アスカがベルに手を振り、ゆっくりとアスカの機体は滑走路から持ち上がった。紺色の二枚羽が太陽の光をキラリと反射する。  かつて戦場でアスカが乗り回した戦闘機Fk98、通称ミゼットはその翼で人を殺すためでなく、人に思いを届けるために飛んでいた。  ぼんやりと飛び立ったミゼットを見ていたベルは、ミゼットの翼に小さな出っ張りを見た。そして、背中を冷汗が伝った。後でジイドに問い詰めなければ。またアスカは面倒の種を播いてくれた。  ずきずきと痛む頭を手で抑えながらベルは、アスカをこっぴどく叱ることを決意した。    一方機上の人となったアスカは、ベルに用心してこっそり付けさせた機銃にうきうきしていた。必要かと問われたら不要なものだ。しかし、慣れ親しんで命を預けたものは、どうしても愛機に欲しかったのだ。きな臭くなってきている最近の情勢に備えるという意味もある。  機銃の代金で財布は軽くなってしまい、今夜の飲み代にも困る始末だったがアスカに後悔は無かった。それに、飲み代ならベルが奢ってくれると約束してくれたではないか。高い酒を頼んでもなんやかんやでベルは許してくれるに違いない。そう思うと、アスカの顔は自然と緩んだ。  必死に飛んでいた戦場の空では、こんなことは思わなかっただろう。アスカは自分が平和な空で随分と緩んでいることに気が付いた。 「緩んでいる、か。あいつが今の私を見たらそう言うに違いない。気を張って見張りをする必要がない平和な空をお前は見たがっていたな。私が生き残って、平和を感じることになるとは。皮肉なものだ」  アスカはジイドに頼み、愛機に積み込んだスコッチの中から一本を取った。ラスターの好きだったものだ。かつて、戦場でアスカとに熱く語ったラスターも、この酒なら気にいてくれるだろう。機上から、草原に向けて手向けられた、酒瓶は雲を抜けて、小さくなっていった。 「もうすぐ、リュカか。意外と早かったなぁ」  夜間の飛行も覚悟していたアスカだったが、順調に飛べたため、もうあと小一時間でリュカに届く距離まで来ていた。ブランチから時間が経っている。持ってきたサイダーとサンドウィッチはとっくに食べてしまった。 「飯と酒。酒は金がないからダメか。リュカって何が有名だったか?」  リュカの名物は何だっただろうか。リュカの街に対するアスカの印象はよく飛行機が落ちる場所だ。名物の料理のことは全く知らない。降りて人に聞けばいい。アスカはそう決めた。  軍にいたころの癖でアスカは、周囲の見張りをしてしまう。敵機を見つけることが得意なアスカは̝鷹目のアスカと呼ばれていた。  軍を退いたとはいえ、アスカの目はそれほど衰えてはいなかった。その瞳が二つの点を捉えた。夜の帳が降りようとするこの時間に、わざわざ飛ぶ民間機は少ない。そして、アスカに渡された情報ではリュカへ飛ぶ機はアスカの機体以外にいなかった。 「妙だ。燃料切れ?いや、リュカに避難するのはおかしい、ミセリアの方を普通は選ぶ」  墜ちた機体を探しているという可能性もあったが、アスカが知っている直近の事故は一か月前のものだった。最近どこかの会社の飛行機が墜ちたという話は聞いていない。  それに、二機で飛行している。そのようなコストが掛かることをしている会社はかなり少ない。飛行機を飛ばすというのは金が掛かるのだ。アスカの所属するラスター郵便飛行会社でも三機のミゼットしか持っていないのだ。  アスカの脳内が導き出した答えは、二機が軍用機であるというものだった。軍が何をしているかは分からないが、近寄らないに越したことはない。  十二時の方向にいた二機を避けるために、アスカは機首をリュカの街の東に向けた。しかし、二機は、アスカが機首を向けたことに気が付き、猛烈にアスカの機体を追いかけてきている。 「意味が分からん。なぜ、私が狙われる?積み荷に何があるんだ?」  アスカに答えは知りようが無かった。しかし、二機がアスカのに危害を加えようとしている事実は確かだった。 「こちら、ラスター軽便飛行会社所属Ls1。こちらLs1だ」  民間の無線周波数で何度か呼びかけるも、反応は無かった。回避しようとしたが、民間用にデチューンしたミゼットでは二機に性能が劣るのだろう。何度か回避を繰り返すも逃れることは難しかった。  ミゼットの正面200メートルの位置を飛ぶ二機。夕闇を背中に背負った機体は、見慣れた形ではなく、目新しく鮮烈なシルエットをしていた。 「翼が一枚だけだと?」  二機はミゼットのような複葉機ではなかった。翼が一枚しかなかったのだ。アスカはその正体に心当たりがあった。軍にいたときに耳にしたことがある単翼機だ。  二機の単翼機から、四本の曳光弾の火線がミゼットに向かって伸びた。美しい光景だった。それが、ミゼットに向けられてさえいなければ。 「クソがあぁァァァァ!!」  アスカは機体に激しく打ち付ける機銃弾に絶叫した。幸い機体の重要部への被弾は無かった。しかし、風防には何個かの穴が開き。視界が良くなっている。  荷物を載せたまま、戦うのは好ましくない。アスカは錐揉み回転をしながら高度を下げた。パイロットが死亡したように見せかけたのだ。    翼がガタガタと震える中、アスカは機体を立て直す。地面すれすれをかすめるようにミゼットは飛んでいた。この状態で敵機の攻撃を食らったら、ミゼットは確実に墜ちるだろう。 「痛い。ああ、かすめたのか。荷物は無事か?」  おそらくだが、荷物が狙われたのだろう。リュカは国境近くの街だ。他国の戦闘機が紛れ込める限界点である。おそらく、あの機体は他国の新鋭機だろう。 「足をかるくかすった。発動機は無事。翼も穴がある。ああ、もう!どうしてこうなったぁ!!」  悪態を吐きつつもアスカは、ミゼットをリュカの街の滑走路に向ける。滑走路の端にはランプが灯っている。これなら、傷ついた機体でもなんとか降りられるだろう。  そもそも、ラスター郵便飛行会社は夜間飛行を得意とする退役軍人の会社である。機体が普通ならば夜間着陸もなんなく出来るのだ。 「頼むからもう占領されているとかはやめてくれよ」  それに関しては完全に杞憂だった。ミゼットは滑走路にまっすぐ降り立ち静態した。整備員が、ミゼットの周りに集まってくる。 「こりゃ酷い。機体は、三番格納庫へ」 「分かった。動かすからな」  アスカの声に整備員が散っていく。機体を動かし、三番格納庫に近づけた位置で止める。撃たれたのだ。大分慎重にならざるを得ない。 「よっと、後は任せた。ちょっと私は偉い人に話があるから」  アスカは機体から降りた。そして、整備員に機体を任せ、この街の知り合いに話を付けに行くことにした。軍で親しかったクーラだ。空港を買収したということも風の噂で聞いたが、真偽は定かではない。 「この空港って、クーラのもの?」  ポニーテールの女性整備員は、突然の質問に面食らったようだ。そして帰ってきた答えはクラウン卿の名前だった。そういえば軍にいたころあいつはそんな自称をしていたと、アスカは記憶を探った。 「クラウン卿ね。どうやって会えばいいかな?」 「この時間だったら、卿はお好みの酒場で飲んでいらっしゃいます」 「卿は信頼できそうな人物なのかな?」 「もちろんです。卿はとても親切です」  空港から、少し離れた場所までアスカは歩いた。盆地ならではの生温い風が、頬を舐める。リュカは意外と大きい街のようだ。こんなことなら足を拾うべきだったと、アスカは若干後悔した。 「ル・シャリテ。ここがその酒場か」  酒場では、二人の男が飲み比べをしているようで、熱気が路地にまであふれてきていた。 「おっ、新顔だな。どっちに賭ける?卿か?」 「私は卿に用があって来たんだが、これではな……」  アスカはカウンターの端に座ると、ウイスキーを頼んだ。ちびちびと酒を飲みながら、アスカは自称クラウン卿と男の飲み比べを眺めていた。男が、床に倒れ卿がガッツポーズをする。どうやら、彼が勝ったらしい。 「私に用があるというのは君かな?」 「ええそう。一晩いいかしら?」  ヒュー!と囃し立てる声の中、アスカはクラウン卿と共に店の外に出た。 「クラウン卿なんて随分派手な偽名ね。クーラ」 「驚いた。アスカじゃないか。どうして?こんな街へ。ここに降りるのを飛行機乗りは嫌うってのに」  クラウン卿と名乗る人物は、アスカの予想通りクーラだった。 「仕事。貴女だって軍から変わらないのね。男装好きなんだから」 「貴族様の道楽ってやつさ。積もる話もあるから、静かな店に行こうじゃないか」  クーラに連れられてアスカは上品なレストランに入った。店内では飲み屋街の喧噪が嘘のようだった。 「で、話したいことってなんだ?」  クーラの問いに、アスカはリンドバーグ航空の機材の故障から、二機の単翼機に襲撃されたことを語った。 「なるほどね。何とかする。怪しいのはラクトル家の連中だ。私を異常に敵視してくる奴さ」 「それはよかった。酒もっと飲みたい。くれ」 「いいぜ、大いに飲もうじゃないか」  杯を重ねるうちにアスカの記憶は曖昧となった。  刺すような日差しにアスカは、眠い目をこすった。太陽はすっかり高い位置にある。随分と寝過ごしてしてしまったらしい。 「昨日はお楽しみだったね」  着こんだスーツがやけに似合っているクーラが、にこにことベッドのアスカを見下ろす。 「おはよう……」 「君の言った事件だが、優秀な部下が片付けてくれたよ」 「おいおい、どういうことだ?」 「こういうことさ」  クーラが指を鳴らすと、一人のポニーテールの少女が部屋に入ってきた。 「初めましてセシルです」 「昨日の整備員の」 「そういうわけだ。君が荷物を預けた先が彼女で幸運だったよ」  クーラは一枚の封筒を取り出した。蜜蠟で閉じられたしっかりしたものだった。 「これが、君の狙われた理由だ。私への鉄道利権の委任状だ」 「お前のせいか……」 「そう怒らないでもらいたい。ラクトル家がわざわざ手を回したのだろう。なぁに、尻尾は見つけたんだ。後は捕まえるだけさ」  アスカは溜息をついた。面倒くさい陰謀に巻き込まれたものだ。 「ミゼットの修理が済むのは?」 「三日後といったところだ。20ミリなんてひっさげちゃってさぁ。よくやるよ」 「ばれるとうるさいんだ。黙っておいてもらえると助かる」 「君の愛しのベルちゃんがカンカンだよ。電話をしたら、もう五月蠅いのなんの。でも、君が撃ち落されたと言ったら心配していた」 「墜ちてはいない。余計なお世話だ。うちの事務員をからかわないでもらいたい」 「はいはい。電話するかい?」 「いや、全てが終わってベルの奢りの席でいい」  電話代は高いのだ。貧乏なアスカはわざわざ金を払いたくなかった。 「酒が抜けてない。寝る」 「では、ごゆっくり」    アスカは怠惰な性格をしている。ミゼットが修理されるまでの三日間、身体を怠けさせないための日課の筋トレとランニングを除いては、睡眠と飲酒とミゼットの修理の手伝いくらいしかやっていない。 「これで穴は塞げたと。戦えるの?」  リュカ空港の格納庫でアスカはセシルに機体の状態を聞いた。 「はい。民間用にデチューンされていたのを軍用の状態に戻しました。これで戦えます!」 「そう。ありがとう。じゃあ、私は帰るからね」  ミゼットの発動機が獰猛な唸り声をあげ、プロペラが回り始める。滑走路をゆるゆると走り始めたミゼットは勢いを増し、小柄な機体を大空へと浮かべた。 「こちら、s1、目標は飛び立ちました」  空港付近の木に覆われた高台から、電波が送信される。通信をしていたのは顔をフードで隠した不審な男だった。 「やあやあ、君はラクトル家の人間だね?」 「なっ、お前はクラウン!」 「その証拠を渡してもらおうか。ラクトルの屋敷にも人が入っている。無駄な抵抗はするべきではないね」 「お前がここで死ねばどうなる?」  男はナイフを腰から取り出して、クーラに襲い掛かった。身体を刺したと男が思った瞬間、男の視界は反転した。 「私を殺すって?そんな寝言をよくもいったものだよ」  投げられ気絶した男を尻目に、クーラは攻撃的な微笑を浮かべた。 「さて、アスカ。今度は君の番だ」  リュカの街を飛び去って数分しただろうか。アスカは敵が襲い来るだろうという予感に身を震わせていた。久しぶりの実戦だ。腕は鈍っていないはずだ。積み込んだ二丁の機銃は高威力で、ミゼットの調子もいい。 「さぁどこかな?」  アスカの視界の奥に、太陽の光を反射してチカチカ光るものがあった。 「あれだな。方位は前回と同じ。全く懲りない奴らだ」  荷物は下ろしてある。出力も上がっているので、逃げようと思えば逃げられるだろう。しかし、それは戦闘機乗りとしてのアスカのプライドが許さない。ミゼットの機首を二機と相対する方位に向ける。そして、スロットルレバーを引き、発動機の推力をあげた。 「久しぶりの戦場だ。楽しく行こうじゃないか!」  ミゼットと二機の敵機の距離は時間が経つにつれ、どんどん近くなった。アスカは無線機の周波数をクーラから聞いた敵機のものに合わせた。 「朝早くからご苦労。地獄に墜ちろクソッタレが!」    アスカは機体を滑らせ、二機の銃弾の軌道からミゼットを守り抜いた。 「おい、奴は民間機じゃなかったのか?」 「民間機にあんな動きが出来るかよ!」  無線機からは、慌てた声が聞こえる。だが、もう遅い。ミゼットの照準器にははみ出すくらいに敵機の姿が写っていた。  ダン、ダンダンダンダン。重い発射音が聞こえ、無線機越しの着弾音と共に、一機が爆発する。 「おい、ロドル!?おい、嘘だろ?」 「お祈りは済ませた?」 「待ってくれ、やめろ!助けてくれ……」  元軍人のアスカには甘さは無かった。 「バイバイ」  再びの発砲音がして、敵機は黒い煙を吐きながら地面へと吸い込まれていった。  ミゼットは二機が墜ちたであろう場所を旋回した。アスカは二本の瓶ビールを手向けた。戦場で死者に酒をささげるのは、古い飛行機乗りたちの習わしだった。 「さあ、帰ろうか」  ミゼットの紺色の翼が、青空にぽつりと点を作った。 「こちら、Ls1、ただいまーっと」 「ちょっと、本気で心配したんですからね!連絡くらいくれてもよかったじゃないですか!」  無線通信に答えたのはベルだった。  ラスター郵便飛行会社の滑走路にミゼットは静かに降りた。格納庫の近くに機体を寄せ、アスカは地面に足を付いた。  肩を回しているアスカにベルが抱き着いた。ベルの瞳は涙でうるんでいる。 「生きて帰ってきてくれて、本当に良かったです。もう会えないかとばかり」 「あれだ、私から言いたいのは、仕事は選んでくれってことさ」  アスカのあんまりな言葉に一瞬、あっけにとられたベル。  少しして、ペチンと、弱弱しくアスカの頬が叩かれる音がした。
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