月夜に願いを

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霧野(きりの)さん、もうお昼の時間ですよ。いい店見つけたんで、一緒にランチ行きませんか?」 「いや、僕はこれでいいよ」  カタカタと音を立てた。 「ああ、またそれですか。本当飽きないですね、体壊さないように気を付けてくださいよ」  研究所のみんなが部屋を出たところで、私は包装されたカップを握り、給湯室に向かった。  おもむろにビニール包装を解き、「ここまで開ける」の線までフタを開く。  湯沸かしポットのボタンを押し、トポトポとお湯を注ぐ。  フタを閉めて、両手でしっかり支えて、部屋まで持ち帰る。  この一連の儀式は僕にとって、とても崇高(すうこう)な行為だ。  それはこれから食するものが、「タイムヌードル」だからだ。
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