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「おとーさん!おかーさん!弟たち!成さんとお付き合いさせていただくことになりました。柿渋律希です!どうぞよろしくお願いいたします」
お互いの気持ちを確かめあった夜、律希が再び成の家を訪れた
「い、いつからなのかな?」
青筋を立てた成の父親の洋平が、玄関で仁王立ちしている
後ろから、母親の恵理子と、双子の弟たちが見守っている
「はい!本日からです」
「普通はそういうの、もう少し後でもいいから。ほら、すぐに別れちゃうかもしれないし…」
「俺に限ってそれはないです」
「いや、娘の方にはあるかもしれないじゃん、ねえ」
洋平が傍らの成に同意を求めた
成は律希をうっとりとした表情で見つめていたが、洋平の視線で我に返ると
「ま、まあ、いいじゃない。隠して付き合おうとする人より誠実でしょ?」
「そうだなあ…」
洋平は頭を掻いた
(なんか、思ってたんと違う…)
成の彼氏には、霧島くんみたいなシュッとしたタイプがよかったなあ、俺みたいな
しかし、人の気持ちや相性なんて、わからないものである
当の本人たちですら
だから人は過ちを繰り返し、反省を繰り返し、いつか幸せをつかむのだ
洋平は腕組みをほどき、律希に、
「飯、食ってくか?」
と聞いた
おわり
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