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「ねえねえ、真仁くん、ホリケイ君ってどんな人よ?」
ライブが近いため、今日も夢と高塚は練習に行ってしまい、取り残された真仁と律希は、節約のため図書室で勉強していた
律希は、椅子に座ってからずっと机に臥せっていたが、やっと口を開いたと思えばこれだ、と真仁は呆れた
長いこと参考書に強く押し当てていたせいで、律希の頬には紙の跡がついている
なんとも締まりがない
「やっぱり気になるんだ?」
「そりゃあね」
真仁はしばらく考えて
「俺もあんまり話したことないけど、話しやすいタイプではない」
断言した
「愛想ないよ。ほとんど笑わないし。クールとか、かっこつけて、とかでもないような、単に性格なんだろうな。俺は好きだけどね。無駄話しなくていいわ」
暗に律希のことを揶揄したつもりだったが
「そんな男がなぜ成なんだ?!」
律希には伝わらなかった
気を取り直す
「成の顔がタイプだった…とか?」
自分で言ったもののなぜか納得いかず、真仁は悩んだ
なぜなら成は、目鼻立ちがくっきりとした美人とか、かわいい系ではないからだ
七難隠すといわれるような色白でもない
スタイルは悪いわけではないが、小柄で細身
ショートカットが似合うボーイッシュなタイプ
ボーイッシュな子が好きな男子がたくさんいるのは知っているが、そういうのとも違う
イメージで言えばリスである
初見や外見ウケがいいというよりかは、人柄を知ることで、じわじわといいなと思われるタイプの人間だ
だから律希の次の言葉に、真仁は驚かされた
「それはあるかもな…」
律希は真剣に考え込んでいる
「え?まじで?」
「お前、自分で言っておいてそれはないだろう。心底メンクイだな」
「ひどい言われよう。俺だって成のこと好きなのに…」
「お前のそれは友達としてだろ。ん?ホリケイ君もその可能性はあるな。ライブに来てくれるから、とか」
「だとしたら俺らだって声かけられr…」
その時、律希が急に立ち上がったので、真仁は持っていたアイスコーヒーのカップを手から離してしまった
とりあえずこぼれてはいなさそうだ
蓋がついていてよかった
律希はテーブルの上に散らかった勉強道具をかき集めて鞄に放り込むと、
「俺は探りをいれてくる!」
と言い残して足早に図書館を出ていった
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