株式会社ハンドレッドデイズ

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今日の撮影分の編集作業が終わり一息ついたところで、僕は話を切り出したーー僕を雇ってほしいと。 もう何度目かの申し出に、社長はわざとらしくため息をついた。 「あのさ、今日一日見て分かったでしょ?世の中の何の役に立つんだかって映像を淡々とカメラに収めて、某番組のパチモン作ってる会社なのよ、ウチは。 前に勤めていた会社で何があったかは知らないけど、まだ若いんだからちゃんとしたところに就職しなさいよ。」 いつもはこれ以上深入りしないが、今日は橘くんたちみたいにアルバイトでもいいからと食い下がる。 「あいつらは野心があってバイトしてるから。クソみたいな仕事だけど、企画や撮影、編集作業は勉強になるでしょ。ウチでの経験を肥やしにして、すごい映像作品を作ろうとしてんのよ。」 それならばシゲさんはどうなのかと詰め寄ると 「俺とかシゲさんは、映画でメシ食っていけなかったから、この仕事やってんの。ごちゃごちゃ言わないで、未来ある若者は去れ!」
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