4人が本棚に入れています
本棚に追加
休憩時間ではないものの通りがかったついでにドアを少し開く。
机で勉強する仙寺に寄り添って仄がノートを覗き込んでいる。
時折二人が顔を合わせ笑う姿に昔の自分達を重ねた。
螢子がいたら、幸せそうに笑っただろう
最後の言葉は 仄が訪ねてきたら だったから。
「最後ぐらい母親でなくてもいいだろうに」
思わず呟いてドアを閉めた。
出会って二年。付き合って一年。
一緒に行きたい所も、一緒に見たいことも
沢山あった。それなのに。
失ったあとはこんなにも長いのに、過ごした時は一瞬で 螢 なんて儚いものに心奪われた悲しみをいつになったら癒せるのか。
せめて、
あいつらには幸せになって貰いたいよな..
自分自身に言い聞かせて病室を後にした。
「明日同じ布団に入ってたら
出禁にしてやる」
誰に言うでもなく呟くと硯は歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!