友の話

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青空の下 バイクに股がったまま、病院のロータリーに建てられた丸い時計盤に目をやる。 『17:24』 開店前までの時間を考えるとため息をついた。 「ごめん!遅くなった!」 正面入口の自動ドアを慌てて掻い潜り走ってくる麻実に肩を下ろす。 「転ぶぞ」 案の定、五・六段の小さな階段でよろめきながら何とか体勢を立て直すと麻実は笑って、信也が手渡したヘルメットを被った。 「ありがとう、元気そうで良かった。 少しならご飯も食べられるようになったって、起き上がってたし」 「...そうか」 信也の後ろに飛び乗りながら麻実は続ける。 「信ちゃんに謝りたいって言ってたよ。 会わないの?」 「俺はいい。変に気遣うとまた穴開くだろ」 「...言いたいこと伝えられない方が ストレスだと思うけど」 「...。お前いい加減その ちゃん 付けやめろ」 眉間にシワを寄せ、信也は背を向けたままバイクを傾ける。 「だって癖なんだもん。かわいいでしょ」 「そんなもん求めてない」 信也は溜め息を着いてハンドルを握った。 「...八城(あいつ)に関わるとろくな ことがない」 小さな呟きをため息と共に洩らすとバイクを走らせた。 「とかなんとか言って、信ちゃん仄が気になってしょうがないくせに」 「..落とすぞ」 背中で笑う麻実に舌打ちを返すとスピードを上げた。
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