家族の話

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「...。そういえば仙兄は?」 話題を変えようとして兄の名を口に出すと、仄は油断していたのか声を上げ猫のぬいぐるみで顔を庇うように掲げた。 顔がみるみる赤くなる。 「えー・・と、聞かない方がいい? あえて聞く?」 思わずプロポーズ云々の話を思い出してしまった仄は 聞かないで と首を音がなりそうな程 振った。 祠はその姿に ほっ として立ち上がると、まだ顔を火照らせている仄の頭に手を置いた 「仄さんはずっとそのままでいてね」 「は?」 「なんかオレまで幸せな気持ちになれるから」 首をかしげる仄に笑いかけると祠は手を離し足元に置いたままの鞄を掴んだ。 「じゃあオレ行くね、直に兄さん達も来ると思うけど」 「送ってく!」 慌てて立ち上がり仄は叫んだ。 「...今度は仙兄何したわけ?」 仄の慌てぶりに思わず呟くが、仄はいそいそと病室を飛び出していった。
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