プロローグ

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プロローグ

「テルさん、また猫山婆(ねこやまばあ)さんからクレームですよ。今日は玉ねぎが入ってなかったって。もう、いつも間違(まちが)えるんだから、ちゃんとチェックしてください!」 「ああ、チェックは、ちゃんとしたんだけどな」 カサナシ テルは、野菜(やさい)配達(はいたつ)から戻ってきた途端(とたん)に、事務(じむ)夏美(なつみ)から(おこ)られて仕舞(しま)いました。でも、これも毎度(まいど)のことなのです。気を付けても、気を付けても、ミスが無くならないのでした。 「あ~あ、やんなっちゃうな」 テルは、大きな()め息をつきました。 「溜め息をつきたいのは、私の方よ」 夏美も、小さく溜め息をつきました。 「僕はミスターミスさ」 「どうしてなのかしらね~」 「ほとほとやんなるよ、向いてないのかな~」 「まあ、次ね」 夏美が明るく笑い飛ばしてくれるのが、救いだな、とテルは夏美のお(かげ)で続いていると思って居ました。 bac675cc-b223-4975-a5d9-4867b4c93ac7
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