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プロローグ
「テルさん、また猫山婆さんからクレームですよ。今日は玉ねぎが入ってなかったって。もう、いつも間違えるんだから、ちゃんとチェックしてください!」
「ああ、チェックは、ちゃんとしたんだけどな」
カサナシ テルは、野菜の配達から戻ってきた途端に、事務の夏美から怒られて仕舞いました。でも、これも毎度のことなのです。気を付けても、気を付けても、ミスが無くならないのでした。
「あ~あ、やんなっちゃうな」
テルは、大きな溜め息をつきました。
「溜め息をつきたいのは、私の方よ」
夏美も、小さく溜め息をつきました。
「僕はミスターミスさ」
「どうしてなのかしらね~」
「ほとほとやんなるよ、向いてないのかな~」
「まあ、次ね」
夏美が明るく笑い飛ばしてくれるのが、救いだな、とテルは夏美のお陰で続いていると思って居ました。
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