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「ふうースッキリスッキリ」
と雄太が言った。
雄太は手をハンカチで拭きながら近くのパンを一つ取る。そして、購入する。その後、コンビニを出て、パンを食べる。
「鴇波雄太、アドバイスだ。時計を見てみろ」
「どげい?」
と咀嚼音が混ざった声で雄太が言った。
雄太が時計を見ると針は八時二十五分を指していた。雄太の学校は八時三十分に始まる……
「ッ!」
(どうすれば……いくら学校に一番近いコンビニといえど、ここから本気で走っても五分はかかる。階段を登る事を考慮すると状況は絶望的だ)
「どうすれば……」
雄太がそう呟くと、その声に呼応したように化け物がこう告げる。
「なあ、鴇波雄太、俺と契約しないか?契約すれば好きな力をお前にやろう。どうだ鴇波雄太、する気になったか?」
「……だから毎日言っているだろ。答えは一つ、お断りだ!」
怪しすぎるからな。
「じゃ、走ってくから」
「そうかい」
あからさまに肩を落とす化け物。
「お前は相変わらず付いてくるんだな」
「ああ。なんだって俺はかの有名な、エクサバトー様だからな」
「有名じゃないぞ、エクサバトーさん」
「へいへい」
そうして二人は学校に着いた。
ピピピ。ピピピ。
ピピ——
「はい、嘉村です」
携帯電話を耳に当てた少女はそう答える。
「はい。目的の子供は発見しました」
少女は花山高校を見つめる。
「はい。分かりました」
少女は腰に当てている刀を触る。少女は小学生くらいの背の大きさをしており、服装はまるで武士のような格好をしていた。
少女はストレートの髪をいじる。
そして、目を閉じる。
「ごめんなさい……鴇波雄太君……」
少女は目を開いた。その瞳は美しく、そして儚げな色をしていた。
「その怪物は、私が潰す」
少女は覚悟を決める。
「さようなら。新たな契約者さん」
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