1話 契約

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 □◼︎□◼︎□ 「ふうースッキリスッキリ」  と雄太が言った。  雄太は手をハンカチで拭きながら近くのパンを一つ取る。そして、購入する。その後、コンビニを出て、パンを食べる。 「鴇波雄太、アドバイスだ。時計を見てみろ」 「どげい?」  と咀嚼音が混ざった声で雄太が言った。  雄太が時計を見ると針は八時二十五分を指していた。雄太の学校は八時三十分に始まる…… 「ッ!」 (どうすれば……いくら学校に一番近いコンビニといえど、ここから本気で走っても五分はかかる。階段を登る事を考慮すると状況は絶望的だ) 「どうすれば……」  雄太がそう呟くと、その声に呼応したように化け物がこう告げる。 「なあ、鴇波雄太、俺と契約しないか?契約すれば好きな力をお前にやろう。どうだ鴇波雄太、する気になったか?」 「……だから毎日言っているだろ。答えは一つ、お断りだ!」  怪しすぎるからな。 「じゃ、走ってくから」 「そうかい」  あからさまに肩を落とす化け物。 「お前は相変わらず付いてくるんだな」 「ああ。なんだって俺はかの有名な、エクサバトー様だからな」 「有名じゃないぞ、エクサバトーさん」 「へいへい」  そうして二人は学校に着いた。  ピピピ。ピピピ。  ピピ—— 「はい、嘉村(かむら)です」  携帯電話を耳に当てた少女はそう答える。 「はい。目的の子供は発見しました」  少女は花山高校を見つめる。 「はい。分かりました」  少女は腰に当てている刀を触る。少女は小学生くらいの背の大きさをしており、服装はまるで武士のような格好をしていた。  少女はストレートの髪をいじる。  そして、目を閉じる。 「ごめんなさい……君……」  少女は目を開いた。その瞳は美しく、そして儚げな色をしていた。 「その怪物は、私が潰す」  少女は覚悟を決める。 「さようなら。新たな契約者さん」
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