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それからサツキは時々学校へ来るようになった。
サツキは自己紹介の時に「両親の仕事の関係で学校には少ししか来られません」と言っていた。病気だということは、何故だか誰にも話していないようだった。
自分だけが知っているサツキの秘密。
相変わらず友達と呼べるような人はいなかったけれど、その事実が俺にとってサツキとの絆のようなものだったことは確かだった。
今まで俺の周りには、俺と同じようなものの見方をする人はいなかった。
けれどその鳶茶色の綺麗な瞳には、俺と同じ景色が見えているようなそんな気がした。波長が同じ、とでもいうのだろうか。
兎に角、俺はサツキの傍に居ることが心地よくて、だから、サツキが学校に来たときはよく二人で屋上へ続く階段の踊り場でくだらない話をした。
「ねぇ、孤独ってどういうことを言うんだと思う?」
突然、サツキは誰ともなしにその端正な唇からそんな言葉を落とした。思わず辺りを見回したけれど、もちろん、ここにいるのは俺たちだけだった。
「ひとりぼっちってことじゃないの」
「ひとりぼっちって?」
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