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「いや、同情して欲しいわけじゃないし。帰ろ、昨日ビデオ見らんなかったし」  昨日のちょっとしたアレのせいで、ビデオ見せてもらうの忘れたんだ。 「龍樹」  悪あがきする僕に、玲次の冷たい視線がトドメを刺す。 「俺の顔は見えてんのか」  …これは効いた。ちょっと離れるとよく見えないし、表情も細かくは見えない。それなりに判断は出来るんだけど。 「…見えてる、よ」  見えてるけど、ね。 「ふーん」 「目でしょ、鼻、口」  玲次の顔のパーツを順に指さす。と、軽く殴られる。 「さっさと来い!」  そして、自動ドアの中に引きずり込まれる。狼狽える僕をよそに、玲次は着々と申し込みを済ませ、名前を呼ばれても立ち上がりたがらない僕を診察室に叩き込んで悠然としている。  面倒な検査をたらい回しにされ、どういう職種の人なのかわかんないけど、男の人にパンフレットを見せられる。説明してくれても、気がないから全然頭に入らない。 「どれにしますか?」 「待合室の長髪に聞いて下さい。僕、全然わかんないんで」 「え? …お友達? でいいの?」 「いいんです」 「ああ、彼もコンタクトなんですか?」 「バリバリ2.0です」
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