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「…いいの?」  答えるのも面倒になり、頷いて返す。家族にでも聞いてくれって言うなら、彼も納得しただろうけど、他人に聞いてくれって患者は初めてだろうな。  でも、自分の顔見て欲しいなら、自分で決めりゃいいじゃん。  少し待っていると、彼が戻ってきた。 「これだけど…ほんとにいいんですよね?」  もう、めんどくさいなぁ。いいって言ったじゃん。  玲次が選んだコンタクトを見せられ、目に入れられる。めちゃめちゃ怖い。 「落ち着いたら視力測りますから、待合室でお待ちくださいね」  そして、玲次のところへ帰される。僕は涙が止まらなくて、玲次の様子を見るどころじゃなかったけど、一瞬たじろいだのがわかった。 「玲次」  目なんか開けられなくて、ゴロゴロ動く目の中の片方2万3000円、落とさないようにするだけで必死。 「痛い、やっぱり! 気持ち悪い!」  ここで、普通なら慰めてくれるだろ? 仮にも彼氏だよ? 優しい言葉くらいかけてくれてもいいだろ?  でも、僕の彼氏は玲次だった。 「あったりまえだ」
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