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 …期待してなかったけど。こんなことくらいで慰めてくれるような彼氏じゃないってことくらい知ってたよ。でも、無理矢理連れてきといて、そりゃないよ。 「痛いんだけど?」  もう一度訴えても知らん顔。 「目の中に何か入ってんだよ?」 「入れたんだ」 「気持ち悪いんだって」 「そりゃそうだろうな」 「連れてきたの誰だよ」 「俺だ」  身も蓋もない見事な受け答え…。ほんと冷たい。昨日迫ってきた、あの僕のこと大好きそうな玲次はどこへ行ったんだ。 「可愛い僕がどうなっても」 「小さいの間違いだ」  本当に、これで僕の彼氏なんだろうか。時々疑いたくなるぞ。素直に心配する方が憎まれ口叩くよりずっと簡単だと思うけど? 「グズグズ言ってないで。ほれ、呼んでるぞ。香坂さん」  そして最終的に、僕に1.3の視力が与えられた。
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