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「調子どうだ?」
何だかんだで都合が合わず、二日会わないでいるうちに、玲次が電話をかけてきた。
「…うん」
これが、なかなか言いにくくて電話しなかったんだけどなぁ。あんまりにもカッコ悪くて。
この二日というもの、悪戦苦闘してたんだけど…。
「良くないのか?」
「…うーん」
曖昧な僕の返事に不安を感じ始めたらしく、声のトーンが少し変わる。
「平気か?」
「いやぁ、さぁ…」
「何だよ」
責任でも感じ始めたのだろうか。ちょっと焦ってるみたい。ますます言い難い。
「お前、怒るもん」
「はぁ? さっさと言えよ。何だよ」
電話で良かったなぁ…面と向かって言ったら、殴られるとこだった。
「怒らない?」
「ことによるだろ」
「…調子いい。全然平気」
「無駄な心配かけんなよ! 大騒ぎしといて何だよ、まったく」
「ごめん、怒るだろうとは思ってた」
「だから言ったろ。まったく、手間かけさせやがって」
言ってることとは逆に、嬉しそうな声。こういうとこに滲み出る素直さが、なかなか憎めない。
「景色違うか?」
「気持ち悪いくらいに。なぁ、玲次」
「あん?」
「嬉しい? 眼鏡じゃないの」
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