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「お前の目付き、何とかなんねぇの?」
この間、崇純さんに言われてドキッとした。
「俺はお前が目ェ悪いの知ってるから良いんだけどさ、第一印象めちゃめちゃ悪いぜ?」
僕自身は当然そんなつもりないんだけど、睨んでるって思われるらしい。自分でも、0.1もないこの視力は気になってた。何にも見えない。
崇純さんは、眼鏡か何かどうにかしとけよ、と僕に言い残した。
そうだよね、僕みたいな下っぱが目つき悪いのは良くないよね。
「…って言われたんだ」
「で? どうすんだ?」
電話の向こうで玲次が聞く。今日は僕が個人的に用事があったので、電話のみ。殆ど毎日会うから、普段はあんまり電話はしない。
「眼鏡作ろうかなって」
「眼鏡」
明らかに不満そうな玲次の声。そう来ると思った。玲次、一度だけ言ってくれたことあるから。
お前の性格悪そうな目がいい、って。
最近やっと玲次の発言パターンが読めてきたんだけど、これで精一杯褒めてるつもりらしいんだよね。チビとか小さいとかは、可愛いって意味らしい。小学生か。
「あ、やっぱ嫌?」
「別に、ただな」
ちょっと皮肉を含んだ声色。はい、来るよ。
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