4人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前の低い鼻に眼鏡かかんの?」
「ひっでー、そこまで低くないし」
「どこにあった?」
すっかり慣れたけど、この僕に言う台詞じゃないぞ。お前が選んだ、お前の恋人だ。
「あるし。ちゃんと働いてるし」
「働いてりゃいいってもんじゃねぇだろ」
「お前こそ、俺の顔見えてんの?」
「どっちにしろ、俺の鼻は高い」
反論できない。玲次、どこからどう見ても美形なんだもん。僕の極端に悪い視力で見ても、贔屓目抜きでも。
「でも、さぁ」
僕の鼻が低いのは否定出来ない事実なので、反論は諦めて流すことにする。
眼鏡にするなってことは。
「眼鏡じゃなかったら、どうすればいいわけ?」
「コンタクトだろ」
「やっぱり…」
「何だよ、それ」
「嫌なんだよ、コンタクト」
「何で」
「痛いんだろ」
この言い訳は、意気地がないとは思う。思うんだけど、痛いに決まってる。
「何で眼鏡がダメなんだよ」
コンタクトの話を遠ざけたくて、とりあえず眼鏡に話を戻してみる。
「眼鏡は、なぁ」
玲次、ちょっと困ってる。素直じゃないよね。言いたいことはわかってるけど、僕はちょっと意地悪になってみる。
「眼鏡は?」
「鼻低いくせに図々しい」
「他に理由は?」
最初のコメントを投稿しよう!