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「お前の低い鼻に眼鏡かかんの?」 「ひっでー、そこまで低くないし」 「どこにあった?」  すっかり慣れたけど、この僕に言う台詞じゃないぞ。お前が選んだ、お前の恋人だ。 「あるし。ちゃんと働いてるし」 「働いてりゃいいってもんじゃねぇだろ」 「お前こそ、俺の顔見えてんの?」 「どっちにしろ、俺の鼻は高い」  反論できない。玲次、どこからどう見ても美形なんだもん。僕の極端に悪い視力で見ても、贔屓目抜きでも。 「でも、さぁ」  僕の鼻が低いのは否定出来ない事実なので、反論は諦めて流すことにする。  眼鏡にするなってことは。 「眼鏡じゃなかったら、どうすればいいわけ?」 「コンタクトだろ」 「やっぱり…」 「何だよ、それ」 「嫌なんだよ、コンタクト」 「何で」 「痛いんだろ」  この言い訳は、意気地がないとは思う。思うんだけど、痛いに決まってる。 「何で眼鏡がダメなんだよ」  コンタクトの話を遠ざけたくて、とりあえず眼鏡に話を戻してみる。 「眼鏡は、なぁ」  玲次、ちょっと困ってる。素直じゃないよね。言いたいことはわかってるけど、僕はちょっと意地悪になってみる。 「眼鏡は?」 「鼻低いくせに図々しい」 「他に理由は?」
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