4

1/3
前へ
/19ページ
次へ

4

「…ってことで、見て、これ」  学校帰りに玲次の家に寄り、ことの成り行きを話して万札を見せる。 「あーあ、コンタクト嫌だなぁ。すっごい痛そう」 「始めだけだぜ、そんなもん」  玲次は僕をバカにするように鼻で笑い、僕の手から万札を取り上げる。 「あっ、何すんだよ」 「預かっとく」 「ダメだよ、僕がもらったんだから」 「持たせといたら、お前、服買っちまうだろ」  鋭い…。ルナ・マティーノのドレスシャツが衣装に欲しい。お前には似合わない、って皆から言われてるけど。 「んなことさせたら、お母様に申し訳が立たない」  言いながら、自分の制服の内ポケットにしまい込む。僕は玲次の胸元につかみかかる。 「返せよ」  僕の手首は、玲次につかまれる。それが予想外に痛かったので、思わず玲次の顔を見る。一瞬目が逸らされ、頬にキスが贈られる。  玲次と付き合い始めてちょっと経つけど、こういうコトにはまだ慣れられていない。  狼狽えてしまい、内ポケットから注意が逸れる。そして、唇へのキス。条件反射で目を閉じてしまう。  キスは嫌いじゃない。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加