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「…ってことで、見て、これ」
学校帰りに玲次の家に寄り、ことの成り行きを話して万札を見せる。
「あーあ、コンタクト嫌だなぁ。すっごい痛そう」
「始めだけだぜ、そんなもん」
玲次は僕をバカにするように鼻で笑い、僕の手から万札を取り上げる。
「あっ、何すんだよ」
「預かっとく」
「ダメだよ、僕がもらったんだから」
「持たせといたら、お前、服買っちまうだろ」
鋭い…。ルナ・マティーノのドレスシャツが衣装に欲しい。お前には似合わない、って皆から言われてるけど。
「んなことさせたら、お母様に申し訳が立たない」
言いながら、自分の制服の内ポケットにしまい込む。僕は玲次の胸元につかみかかる。
「返せよ」
僕の手首は、玲次につかまれる。それが予想外に痛かったので、思わず玲次の顔を見る。一瞬目が逸らされ、頬にキスが贈られる。
玲次と付き合い始めてちょっと経つけど、こういうコトにはまだ慣れられていない。
狼狽えてしまい、内ポケットから注意が逸れる。そして、唇へのキス。条件反射で目を閉じてしまう。
キスは嫌いじゃない。
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