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ハンバーグランチ
「この町の流行りなのかしら・・・・・・・」巴は駅前にある食堂で少し遅めの昼食を取りながら窓の外を見た。なにやら軍隊のような迷彩服や、外国の軍服を着たような男たちがウロウロしてる。そして一様にサングラスのような物を掛けている。まるで素性が解らないように隠しているかのようであった。もう少し都会なら職務質問されても仕方ないようないで立ちである。もしかするとこすると、そういう類のイベントやコスプレの大会でもあるのかと思った。
「あれ、巴さん?」ふいに自分の名前を呼ぶ声がするので、振り返るとそこには刈谷の姿があった。
「か、刈谷さん!」巴は立ち上がって、その名を呼んだ。その勢いで口の中のご飯粒が飛び出しそうになる。
「観光されてたんですか?あっ、ご一緒してもいいですか」言いながらすでに、巴の目の前に席に座ろうとしていた。
「も、もちろんです」断る理由など彼女には無かった。
「僕の用事は無駄足だったようです。もう一泊して帰ろうかと思います」刈谷はメニューのリストを見ながらそう告げる。
「それじゃあ、明日・・・・・・・」言いながら、巴は今夜こそ爪痕を残さなければと密かに誓った。
「巴さんは、何を頼んだんですか?」
「あっ、私はハンバーグランチです」のご飯お大盛であった。
「じゃあ、僕も・・・・・・・、すいません!ハンバーグランチのご飯少な目でお願いします」刈谷は手を上げながら注文する。
「あいよ!」食堂の主人が愛想よく返答をする。
「ねえ、刈谷さん、近くに大きなショッピングセンターがあるみたいなんで、行ってみませんか?」巴は積極的に刈谷を誘う。
「そうですね・・・・・・・、なにか面白い物があるかもしれないですね。行きましょうか」すでにこの町での用事は済んでいるので、あとは旅行気分で良いかと彼は思った。ついでに、酒のつまみでも仕入れておくかと考えた。
「やったー、嬉しい!」巴は思わず口に出してしまった。
「そんなに、スーパーに行きたかったんですか?」刈谷は思わず吹き出してしまった。
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