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(クッキーうめぇ)
「次の勇者ってどんな人なのかしらね」
護衛というてもただ待ってるだけやから、おやつ食べてたら王女の独り言が聞こえた。
一応本人も緊張しとるんやろう、顔が強張っとる。
「少なくともアレよりマシであれば調教でいくらでもなる」
「調教って」
戦力として重宝される勇者、もうじき先代になるアレは心底どうでもえぇけど、勇者信者はえらいショックうけとったなぁ。
『西大陸の勇者の試練を突破できなかった今代は、その身をもって帰還された』と、神殿からの通達を受けた民衆の反応は3つ。
勇者の被害に遭った、もしくは勇者を嫌ってた人は『死んで当然』派。
勇者を道具としていた、もしくは勇者を観察してた人は『無関心』派。
勇者に心頭しとった、もしくは助けられた人は『勇者ショック』派。
勇者を考えたら他の国に召喚されたほうがえぇんやろうが、その国が勇者を戦争道具、もしくは勇者の暴走を止められんのやったらアリスで調教した方がえぇかもしれん。
勇者次第でルートと関わらせるか考えてたら、王女に声をかけられた。
「だいぶ考え込んでたみたいね」
「……うん」
まっすぐな髪は少し波打たせ、レースで作られたヴェールは王族のティアラで止められとる。
化粧もしたんか血色がよく目尻を下げたアイラインでいつもよか数段可愛くはなっとる。
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