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暗い部屋から明るい部屋に移って、王女は掻い摘んで説明した。
未だ現れん敵に抗うために勇者召喚をしたこと、ちょっと前まで別の勇者がおったが死んだこと、世界が勇者を必要としとること。
上城は「よくある召喚ものかぁ」って納得しとったが、佐藤はあんま理解しとらん感じやなぁ。
ただ、ちょいと精霊がざわついとるんよなぁ。
(珍しいやん、おみゃーらがはしゃがんの)
〔だってー〕
〔女の子の方ちょっと変だもん〕
〔うん、紫に似てるけどなんかへーん〕
「変?」
つい口に出してもうた事に気づいたけど、時既に遅し、国王一家の視線が痛い。
「神帝?どうしたんだ」
「ゆ、神帝さん?」
国王さんはともかくルート、名前の方言おうとしてたな。
「……なんでもない」
「あら気になるわ、教えてちょうだいな」
王妃にお願いされた。王女からも目で『言え』て言われてる。
「あー……んー。佐藤殿が変だと、精霊が言っておりまして」
「「「変?」」」
「理由はわかる?」
全帝さんの言葉に精霊を見るけど、当の精霊は不思議そうに佐藤の周りを飛ぶか首を傾げて観察するか唸りながら考えるだけ。
「わかってないみたいだ」
「精霊すらわからない違和感。なんだろうか」
国王さんは不思議そうにしとるけど、一応話の腰を折った事を謝っとくと「構わない」と許しを得た。
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