瀬名賞

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「今回の瀬名賞の受賞作家アオキ先生にスピーチを頂きたいとおもいます」 司会のスピーチの通りぼくは、夢の瀬名賞にてなんと大賞を受賞した。 ぼくはスピーチを終え、記者からの質問に答えていると瀬名賞の元になった作家瀬名先生がぼくのもとへとやってきていった。 「君のような作品は私にでも描けるんだからね!」 そう一言大声で怒鳴り散らし、ベレー帽を被った大作家は会場を後にした。 ぼくは唖然として、立ちすくんでしまったがすぐにその大作家の編集さんがぼくのもとへとやってきてフォローをいれてくれた。 「瀬名先生はちょっと気難しいところがあって、毎回受賞作家さんを褒めるようなことはしないんですよ」 「わかっていますよ、ただ生であんなことを言われるのは初めてだったので、ちょっとびっくりしただけです」 ぼくは半笑いを浮かべながら、気にしていない旨を伝えた。 この瀬名先生は天下の大作家いや、今の漫画界の父のような存在といっても差し支えない。 瀬名先生が漫画を書き始めた頃、漫画という存在は雑誌の穴埋めや新聞の四コマ漫画等に使われる程度の子供が読むだけのものとして認識されていた。
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