瀬名賞

5/5
前へ
/5ページ
次へ
それが実って、ぼくは瀬名賞を受賞し恩返しができたつもりであった。 それがこんなハプニングに発展するとは。 ぼくがたそがれていると、先程ぼくにフォローをいれてくれた編集者さんから電話がかかってきた。 「はい、はい、え?」  電話の内容は端的にいうと先生が倒れたということであった。 原因はお察しの通り過労である。 ぼくは先生のと病室へと急ぎ、溢れ出るいろんな気持ちを整理しながらなんとか一言発した。 「まだ先生のような『うまい』漫画家にぼくなれてないです!」 「アオキくん、ぼくの漫画はそんなに『うまい』かい?」 その一言を発して以降先生は意識が途切れ、集中治療室へと入り面会謝絶となった。 それからまもなくし、漫画の父はこの世を去った。 編集さんは天下の大作家がぼくに言い残した言葉を伝えてくれた。 「アオキくん私はもう一度君のような『面白い』と言われる作品が描きたかったのだ」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加