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それが実って、ぼくは瀬名賞を受賞し恩返しができたつもりであった。
それがこんなハプニングに発展するとは。
ぼくがたそがれていると、先程ぼくにフォローをいれてくれた編集者さんから電話がかかってきた。
「はい、はい、え?」
電話の内容は端的にいうと先生が倒れたということであった。
原因はお察しの通り過労である。
ぼくは先生のと病室へと急ぎ、溢れ出るいろんな気持ちを整理しながらなんとか一言発した。
「まだ先生のような『うまい』漫画家にぼくなれてないです!」
「アオキくん、ぼくの漫画はそんなに『うまい』かい?」
その一言を発して以降先生は意識が途切れ、集中治療室へと入り面会謝絶となった。
それからまもなくし、漫画の父はこの世を去った。
編集さんは天下の大作家がぼくに言い残した言葉を伝えてくれた。
「アオキくん私はもう一度君のような『面白い』と言われる作品が描きたかったのだ」
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