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転機
「相本さん。少し隣で話してもいいかな?」
私の隣に、部長の戸塚玲さんがいた。
何か仕事でも任せられるのかしら……。ずっとパソコンに座って作業をするのも退屈だし、新しい仕事を貰うのも悪くないわね。
「はい、いいですよ」
私は戸塚さんの返事に頷いた。
すると、戸塚さんは笑顔で私に話してきた。
眩しい……。戸塚さんは私と違って仕事も早くて顔もいい。見ているだけで眩しいわ。
「私、仕事の都合でよく朝早めに来て分かったのだが___毎日、私の机を掃除してくれてありがとう」
……え? 私が毎日掃除しているの、知っていたの!? 人から注目を浴びる事って、あまり好きじゃないのよね。気づいてほしくなかったな……。
私は顔を赤くして戸塚さんに謝罪する。だって、勝手に机を掃除している事がバレてしまったから。
「す、すみません!! 勝手に掃除なんかしてしまって」
私は慌ただしく謝罪する。
「どうして? 私、君のおかげで凄い仕事が捗っているよ。少しずつでいいから、毎日掃除をしてくれている事のお礼をさせてくれないかな?」
お礼って、何をするのよ……。
でも、二十七年間男性と殆ど関わって来なかった私にも男性と話す機会があるなんて……。少し、興奮する。
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