天使だって恋をする?

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 バサリと届けられたリストの束にざっと目を通していたら、更にその上に一枚のリストが差し込まれた。 「ねえ、それ、悪いんだけど代わってくれない?」  そう言うとミシェは小首を傾げ、陶器のような白い頬をうっすらと薔薇色に染めて、柔らかく微笑んだ。  ミシェの深い海を思わせる青い瞳は、優しさの中にもどこか意志の強さを感じさせる輝きを放っている。透けるようなブロンドの髪がサラサラと肩から滑り落ちる様子を見るともなく見ていた。シンプルな真っ白のワンピースは足首までの長さがあり、小さな裸足の足だけがのぞいている。  ああ、こういうヤツがみんなが認識しているところの、いわゆる使ってやつなんだろうな…。 「何だよ。また苦手なヤツが当たったの?」 「うん、そう。ラフィーの方がこういうの得意かなって…」  リストには、今日の日付と対象者の名前、生年月日と簡単な年表がズラっと書かれている。ミシェの渡してきたリストは長々と書き込まれているが、そのどれもがとは言えない。 「黒っ!ほとんど黒…」  限りなく黒に近いグレーから漆黒まで、多少の濃淡はあれど、殆ど黒一色に近い文字で書かれた年表に、の大変さが思いやられる。 「代わって…くれる?」  様子を伺いながらそう訪ねてくるミシェの声に含まれる少し甘えたような響きを感じ、頼られて悪い気はしないな、とつい思ってしまう。 「別に……良いけど?」  ダルそうに聞こえるように、わざと呟くように答えて、右手でセルリアンブルーの短い髪をガシガシと掻きむしる。
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