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「ラフィー、ありがとう! さっきの、交換してもらった人の?」
「ああ、うん」
戯れる魂の乱舞に見入っていたら、急にミシェの声がした。俺と交換した掃除が完了したらしい。ダイヤモンドの煌めきのように、七色に光る美しい球体を伴っている。
「すごい! 素敵なピンク色だったね。流石ラフィーだね! わたしも一つお仕事完了! ラフィーのおかげで上手く行ったよ」
ミシェは眩い光をバックにどこまでも柔らかな微笑みを見せた。まさに天使の微笑み。ミシェの笑顔で大仕事で疲れた心が浄化される。
「ああ、うん、そっか。良かったな」
俯いて視線を合わせずにボソボソと返事をしていたら、突然、唇の横辺りに柔らかなモノが押し当てられた。
「はっ?! なっ?!」
慌てて横を向くと、フワリと浮かんだミシェの顔がすぐ近くにあった。
「ふふっ、お礼。ありがとうラフィー、大好き!」
ミシェの感情がなだれ込んできてブワッと胸が熱くなる。唇の横もジンジンする。
「ここのホクロも好きなんだ」
ジンジンとした箇所をミシェの細い指がツンと押す。どうやら口元のホクロにキスされたらしい。感覚と感情とが一気に渦巻いて頭の中がパニック状態の俺を放置して、ミシェはあっさりと飛び去った。
「好きって………俺の方がだろ」
ホクロの箇所を親指でそっとなぞり、ミシェの羽根が見えなくなるまでじっと目を離せなかった。
―――ああ、どうやら俺は恋をしたらしい。
〈end〉
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