人界へパート2

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人界へパート2

         今日は、魔力がもどる誕生日の前日だ。なので、朝からのんびりと部屋で過ごしている。特訓も読書もしていない。約5年間、毎日休まずに訓練してきたのだから、今日みたいな休息日があっても、誰も文句は言わないだろう。  明日、魔力が復活したら、この部屋を出て、お母様に会いに行こう。そして契りの間で何がおこり、また5年間どのような生活を、していたか伝えにいこう。  そして、私はお母様のことを、全く恨んでいないことを伝えよう。私は、お母様が呟いたあの言葉は、本意ではないとわかったのだから。  私はこの5年あらゆる本を読み、たくさんの知識を手に入れた。なぜのこの書庫に私が閉じ込められた理由も、本の知識で解決したのである。  魔界には魔の瘴気で満ちている。この瘴気は、魔族以外ものには、毒を吸っているのと似たような感覚になるらしい。    魔石が白くなった私には、この魔界で生きていくのには、かなり難しい。だから、お母様はこの書庫に結界をはって、この部屋に閉じ込めたに違いない。  そして魔の瘴気を浴びた者を、近寄らせないようにしたのである。  食事も瘴気を消し去った物を用意されていた。瘴気を消し去った料理を作るのは、かなり手間がかかる。それをきちんと毎日3食用意してくれいた。    このことを考えると、お母様は、私のことを嫌っているはずはない。むしろ愛されていると、わかったのである。  たぶんお母様は、私の魔力が、回復する方法を、いろいろと調べているに違いない。でも大丈夫だよお母様。私は明日になると、魔力が回復するのだから。しかも7大天使さえ倒せる力も手に入れた。  「王女様、そこにいらっしゃいますね」  扉の奥の方から声が聞こえる。  「私は魔王参謀長官をさせてもらってる、ナレッジです。」  「王妃様の命令により、王女様を人界へ、のテレポートすることになりました。」  ナレッジがそういうと、私の目の前は真っ暗になり、一瞬で書庫より人界へと飛ばされたのであった。    あと1日だったのに…  私は、呆然と立ち尽くしていた。なぜお母様は、私を人界へと送り出したの?もう私の魔力が回復しないと思って諦めたかな。  いくら考えても仕方がない。もう私は、人界に飛ばされてしまったのである。  この人界でどう生きていくかを、考えなければならない。  私の魔石は白いから、この世界では、魔人というよりも、亜人と思われるだろう。人間から見たら、私は、ツノが生えた小さい女の子なんだから。  私は、人界の本も読んでいたので、亜人は人間から好ましくない対象だとは知っている。    しかしそれは昔の話しであり、最近は亜人も獣人も人間も、仲良く暮らせる世界が出来つつあるみたいだ。  でも一部の人間は、亜人、獣人へ差別は酷いものであるとも本に、書いてあった。  でもこれは逆もある。亜人、獣人から人間への差別も存在する。  いろいろと考えても仕方ない。とりあえずこれからどうしよう。  明日になれば、能力が復活するので、そうしたら魔法で現在の位置も確認できる。  今は、どこかの森の中にいるみたいだ。今は私は無能力者なので、このまま森の中にいるのも危険だ。魔獣など出てきたら、即、魔獣の餌になってしまう危険があるからだ。  私は周りをみわたすと、少し離れたところに、道のようなものが見えたので、そこに向かってテクテクと歩き出した。  これはちゃんと舗装された道だ。これを辿って行くと町があるに違いない。  さてどちらの方向に行こうかな。北へ向かう道の方向の方が、森がひらけていく感じがしたので、私は北方向へ進むことにした。  しばらく歩いて行くと、森から抜け出てることができた。このまま道なりに進んでいくと、必ず町にたどり着くに違いないと信じて、そのまま1人で、テクテクと歩き出した。  森から出て、歩くこと40分、やっと小さな町が見えてきた。  これでなんとか無事に、1日を乗り切れそうだ。お金も何も持っていないから、町の近くで野宿でもしたら、問題ないだろう。  とりあえず、寝るまでにまだ時間があるので、町でも探索してみよう。それにかなりお腹も、空いているので、何か食べるのものに、ありつけないか調べてみよう。  町に入るには、正面の門から入らなければいけない。そこで入場の許可をもらうみたいだ。  身分証は冒険者組合、商業者組合、王国、領主、などから発行される。  身分証のないものが、町に入るには、門の横の部屋で、簡単な審査を受けることになる。  私は9歳の小さい亜人の子供。特に害をなさないと判断されたら、町に入れることができるはずだ。    私は門のところへテクテクと歩き出した。そんなに大きな町ではないので、並んでいる人もいない。  「おい、亜人の子供、お前はこの町に何しに来たんだ。お前みたいな亜人を、この町に入れることはできないな。」  ここはハズレの町だったみたい。亜人の差別が酷いところだ。ここは問題をおこさずに、引き返したほうがよさそうだ。  「はい。わかりました門兵様」  少しでも相手の機嫌を悪くしないように対応し、門から離れようとした。  「ちょっと待て、亜人のガキ。」  もう1人の門兵が私を引き止める。  「このガキ、亜人だが、みてくれは、そんなに悪くないぞ」  「お前は亜人の子供なんか好きなのか?」  「そうじゃない。こういうガキを好きな特殊な趣味のヤツもいるということだ。」  「そういうことか。高く売れるかな?」  「たぶんな。運がよいことに、このガキは1人だ。俺ら2人がかりなら、とらえられることができそうだな。」  亜人は人族に比べて力は強い。でもわたしは10歳の子供。戦闘訓練を受けた大人2人では勝算はない。  しかも私は亜人でもなく、今は無能力者だ。しかもレベル1の村人にタコ殴りにされるくらい弱い。  これは非常にヤバイ町に来てしまった。今の私では走って逃げてもすぐに追いつかれてしまう。  さてどうしようかな。
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