人界へパート3

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人界へパート3

            しかし、私には逃げる事しかできない。私は、森の方へ逃げるのは危険だと感じた。  森へと繋がる道には、誰もいない。そう、助けを呼ぶことが、できないのである。  もしかしたら、町の人も、亜人が嫌いで、助けてくれないのかもしれない。しかし誰もいない森の方へ、逃げるのは、とても危険だと感じた。なので私は、門を通って、町の中へ逃げることにした。もしかしたら、私を助けてくれる人が、いるかもしれないと信じて。  「誰か助けてください。門兵の人が、私のことを連れ去ろうとしてます」  と叫びながら私は、全力で町の中へ走って、逃げていった。  「そこの亜人止まりやがれ。亜人風情が、この町に入ることは、許さないぞ」  すごい勢いで門兵は、私を追いかけてくる。  門兵はまさか、町の中へと逃げるとは、思っていなかった。亜人なら、仲間がいてそうな森へ、逃げると思っていたからである。その為、少し行動が、遅れてしまっていた。  「助けてください。助けてください」  私は、叫びながら必死に逃げた。  しかし子供の足では、大人から逃げることなんて、出来なかった。  私は門を抜けて、すぐのところで、簡単に取り押さえられたのであった。  「この亜人がぁ。逃げられると、思っているのか?町に逃げ込んだからといっても、お前なんか誰も助けてくれないぞ!」  「助けてください。私は何も悪い事は、していません。」  「何を言ってるんだ、この亜人は、亜人であることが悪いことなんだよ!」  やはりこの町は、ハズレの町だったみたいだ、私が助けを求めても、誰も助けてはくれない。町の人たちは、見て見ぬふりをするか、こちらを見てニヤニヤ笑っている人か、どちらかである。  「助けてください。助けください。私は何も悪くはありません。」  それでも私は叫び続けたのである。  「うるさいぞこの亜人め。少しは黙りやがれ。」    そういうと門兵は、おさえつけていた私のお腹を、蹴っ飛ばしたのである。  なんで私は、こんな目に合わないといけないの。明日まで魔王城に、いることができていたら、お母様に全てを話し、また家族で仲良く過ごせたはずなのに。  私はお腹も蹴られた痛みよりも、自分の境遇が悲しなり、涙が溢れて出てきたのであった。  「助けてください。助けてください。」  それでも諦めずに私は、泣き叫びながら、助けを求めた。  「うるさいぞ、泣こうが叫ぼうが、誰も亜人なんか助けることなんか、ないんだぞ。」  そういうと門兵たちは、さらに私に、蹴りを入れるのであった。    「何をしているの?」  長い黒髪の、背の高い綺麗な女性が、門兵に声をかけた。  「うるせぇー。この亜人が、勝手に町に入ったから、痛めつけてやってるだけだ。」  「そんな小さい女の子を、大人2人で、おさえつけて蹴飛ばすなんて、やりすぎじゃないの?」  「うるせぇー。亜人なんて、なにをされても当然じゃないか。」  「それはおかしいな。この国の王は、亜人も獣人も人間も、同じ人界の民であり、平等に接するように、言っているではないか?あなたがたは、国王に意向に背くつもりなのか?」  「それは…」  「その女の子が、勝手に町に入った罰は、もう充分に受けたはずだ。だからその女の子を解放してもらおう」  「うるせえなぁ。俺を誰だと思っている。」  「お前は…」  門兵の顔がみるみる青くなっていく。  「ちぇっ、解放してやる。」  「私がその女の子の面倒をみるから、この町への入場許可をもらってもよいかな」  「好きにしたらいい」  門兵は、そう言うと、町の門へ戻っていった。  「大丈夫かい?」  「はい。ありがとうございます」  「私は、仲間と一緒に、その宿屋に泊まっているので、そこで治療をしてあげるよ。それに、今日泊まるところが、決まってないのなら、一緒に泊まらない?」  「亜人の私が、宿屋に入っても問題ないのですか、助けてもらったうえに、ご迷惑をかけたくありません」  「大丈夫だよ。あそこの宿屋の主人は、国王の意向に理解のある方だからね」  「でも私お金持っていないので、宿賃払えないです」  「お金なんて気にしなくていいよ。私が出してあげるから」  「何から何まで、ホントにありがとうございます。」  ハズレの町だと思ったが、とても親切な人と出会えて、私はとても嬉しかった。  「くぅぅーー」  私は安心して気が緩み、お腹の音が鳴ってしまった。そういえば、ずっと何も食べてはいなかった。  「お部屋代だけじゃなく、食事もご馳走してあげるね」  と笑いながら言って、私を助けてくれた女性は、私を連れて宿屋に向かったのであった。
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