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私は、女性に手を引かれて、宿屋に入った。宿屋は、1階が食堂になっていて、2階が泊まる部屋になっているみたいだ。
町にはいるまでに、酷い目にあったが、なんとか町に入れて、食事も食べれることになり、私は内心ホッとしている。
「泊まる人数だけど、1人増えるけど大丈夫ですか?」
女性は、宿屋の主人に確認をとる。
「あの部屋は3人部屋だけど、あなた達が構わないなら、大丈夫だよ。でも追加料金は支払ってもらうよ」
「いくらになりますか?」
「うーん、30ルキアだね。」
あの部屋は1泊150ルキアで泊まれるらしい。3人部屋なので、1人50ルキアになる。3人部屋に無理やり1人追加するから、少し安めに設定したみたいだ。
2日間泊まる予定らしいので、2泊分で60ルキアになる。女性は、宿屋の主人に、60ルキアを渡すと、私の手を引いて2階へと上がろうとした。
「あっそうだ。ハムサンド1人前、部屋に持ってきてもらえませんか?」
「かまないよ。ハムサンドは3ルキアだよ」
「ごめんね。あなたの食事のこと忘れるところだったわ」
「気にしないでください。でもお食事を頼んでくれてありがとうございます」
私はホッとした。門番に蹴られた痛みよりも、空腹の辛さのが、今は、上回っていたからである。
でも、助けてもらったうえ、宿代まで出してもらっている。さらにお食事は、どうなってますか?なんて絶対に言えない。
そして私は、1番奥の部屋に案内された。
「遅くなってごめん。ちょと色々あって、この女の子と一緒に泊まることになったよ。」
と女性は部屋に入るとすぐに、仲間に伝えた。
「その子は誰なんだ?」
ショートカットの赤い髪をした、少し小柄な女性が言う。
「詳しい事情は、この子から何も聞いていないから、わからないけど、門兵にこの子が、暴行を受けていたので、助けてあげたの。ケガの治療もしてあげないといけないし、泊まるところもまだ決まっていなかったみたいだし、それに何よりも、この子めちゃくちゃ可愛いし!だから部屋に連れてきちゃったの」
「それって誘拐じゃね?」
「大丈夫よ。本人も来たいといってたし」
「冗談だよ。ポロン治療してあげな。それから詳しい事情を聞こうじゃないか」
私のそばにポロンという女性がきて、治癒魔法でキズを治してくれた。
ポロンという女性は、セミロングで緑色の髪をした、背が高めのスラットしたエルフだ。
「治療も済んだことだし、まずは俺らの自己紹介をするぜ。俺はトール。そしてお前を連れてきたのが、リーダーのロキ。治療してくれたのがポロンだ。」
「私は、ルシスといいます。ある理由で親に捨てられて、どこか生活のできるところがないか、探していたところ、この町にたどり着きました。町に入れてもらおうと、門兵さんにお願いしたところ、亜人は、町に入れさせてくれないと、言われました。そして、もう1人の門兵さんに、私は高く売れると思い、私を取り押さえようとしてきたので、町の中へ、助けを求めに逃げました」
「はじめは誰も、助けてくれなかったけど、ロキお姉ちゃんが、私を助けてくれました。だからロキお姉ちゃんには、とても感謝しています。」
私は話しているうちに、先程のつらくて怖い事を思い出して、涙が止まらなくなり、その場で泣き崩れたのであった。
「あの門兵ぶっ殺してやる。」
トールさんの顔は、怒りに満ちていた。
「何か少し騒がしい感じがしたけど、そんなことがあったのね。私達が来た時も、あの門兵達は、態度が悪かったよね。」
優しい口調で話すポロンさんだけど、拳を握りしめて、怒りを抑えようと努力している。
「たしかあの門兵は、この町の町長の息子らしい。だから、誰も助けにいかなかったのかもしれない」
「町長の息子だろうとも、俺が明日あいつらをぶっ殺す!」
「トールの気持ちはわかるが、あまり騒動は起こさないでくれ。私もあの門兵は許せないが、なんとか穏便に済ませてきた、ところなんだから」
「トールお姉ちゃんありがとうございます。私はもう大丈夫です」
「ルシスがそういうなら・・・でもあいつらは、絶対に許さん」
「それよりルシスちゃん。これからどうするの?親に捨てられたと言ってたけど、どこか行くあてでもあるの?」
「特にありません。どうしたらいいか迷ってます。」
「俺たちのパーティーに入らないか?」
「えっ!いいのですか?」
「かまわないさ。どこにも行くあてはないんだろ?」
「そうね。それもいいかもしれないね。私達のパーティーのマスコットキャラとして最適かもね」
「マスコットキャラですか・・・」
私は、明日になったら、力は戻ってくる。だからパーティーに入っても、迷惑はかからない。それにこの人達はとてもいい人だ。1人で人界を冒険するより、この3人と冒険したほうが楽しそうだ。
「それでしたらお願いします」
「よし、決まりだな。ポロンも問題ないよな」
「かまいませんよ。でも危険な依頼の時は、ルシスちゃんには、お留守番してもらうことが条件かしら」
「はい。わかりました」
ポロンさんは、私のこと心配してくれているんだろう。
「コン、コン」
「ハムサンド持ってきました。」
「おっ!ロキ気がきくなぁー。ちょうどお腹が減っていたとろなんだよ。ハムサンドかぁー。美味しそうだな。」
「あっ、待てトール」
「ムシャ、ムシャ、」
「マジうめぇーー」
あっ・・・私のハムサンドがぁーー。
「うぇーーん。うぇーーん」
私はあまりの空腹のため、ハムサンドを食べれられたショックで、また泣いてしまったのである。
「トール。あのハムサンドはルシスちゃんの為に、頼んでおいたものだよ」
「あっごめん、ごめん、ついついお腹が空いてたから、そんなに怒るなよロキ。ルシスも泣かなくてもいいだろう」
「だって、すごくお腹が減っていたのに、トールお姉ちゃん食べちゃうんだもん」
「ほんと、悪かった。今から下の食堂で、みんなでご飯食べに行こうぜ!俺が奢るからさ」
そういうと、泣いてる私をなだめながら、食堂へと向かっていった。
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