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今回は、町から離れてたところに降りるのは、面倒だったので、ターニプの門の前に、降ろしてもらった。
門番のスルタ、サウパは、目の前にサラマンダーが現れたので、ビックリして、町の中へ逃げていった。たぶん、7巨星王に報告に行ったのだろう。どのみち、報告に来たのだから、詰所で、のんびり待つことにした。
サラちゃんは、追加のプリンをたくさん持って、嬉しそうに、イディ山に帰って行った。
しばらくすると、7巨星王が、完全武装して、門に現れた。
「スルタ、どこで、サラマンダーを見たのだ」
「ブロッケン山の方角から、現れました。しかも、カゴをつけて、人を運んでいたみたいです。あれは、この町を襲いに来た、不審者に間違いありません」
「そうなのか・・・せっかく、ホワ様が、お目覚めになったのに、次はサラマンダーの襲来か」
「ドッレ、何をそんな深刻な顔をしてるんだ」
トールさんが、ドッレに声をかけた。
「これは、トールさん。ダークエルフの説得ありがとうございます。ホワ様が、長い眠りから目を覚ましました。これで一安心できると思ったのですが、サラマンダーの襲撃が、確認されました。安全なところへ避難された方が良いでしょう」
「サラのことか」
「・・・・・」
「だからサラのことか」
「いえ、サラマンダーです。イディ山に住む、火の聖霊神です。とても獰猛な性格をしていて、機嫌を損ねると、地獄業火で、世界を火の海に沈めると、言われている精霊神最強のサラマンダーです」
「あいつ、そんなに凄いヤツだったのか・・・ただの食いしん坊だと思っていたぜ」
「ドッレさん、トールの説明が下手で申し訳ない。火の精霊神サラマンダーは、ポロンの召喚獣です。ブロッケン山から、この町まで、送ってもらっただけなので、決して、襲撃に来たのではないので、安心してください」
「ほ・ほ・本当なのか・・・」
「本当ですわ。私の召喚獣ですわ」
「そうなのですか。ポロンさんは凄い方なのですね。これまでの失礼な対応、申し訳ございませんでした。何卒、このターニプの町を、火の海にしないでください」
ポロンさんが、サラちゃんを召喚できると知って、7巨星王達は、ポロンさんを見る目が、一変した。ポロンさんを怒らしたら、町は崩壊し、ドワーフは殲滅されると、感じたのであろう。
「そんなことするわけないわ。それよりも、会ってもらいたい方が、いるのよ」
「ポロン様の頼みなら、誰にでも会いましょう」
「それは、助かるわ。実は、ダークエルフが、あなた達に、謝罪をしたいというので、連れてきたのよ。さあ、アビスさん、ドワーフの方々へ、ご挨拶しなさい」
ポロンさんは、調子に乗りまくっている。精霊神と契約したことによって、ドワーフのポロンさんに対する態度が一変して、よほど気持ちが良かったのであろう。
アビスは、7巨星王のもとへ行って、150年前の出来事を全て説明した。そして、涙がらに謝罪した。
「そんなことがあったのか」
「これは国民達に知らせて、もと王族への非難を改めさせないとな」
「ホワ様が、眠りから覚めたから、もう過去のことは水に流そうではないか」
「悲しい、結末だったのだな・・・」
「お前のしたことは、決して許される事ではないが、黒幕は他にいるみたいだな」
「もうエルフの呪いがないのなら、これで終わりにしよう」
「国民が納得いくか心配だが、もう争いやめにしようではないか」
7巨星王それぞれの意見があった。7巨星王は、アビスの話しを聞いて、もと王族の名誉王族を加えて、今後の事で、会議をしたいといことで、しばらく待っていてほしいと言われた。
私たちも、エルフとドワーフの対立の根本の原因は、アビスにあると思っているので、ドワーフの提案に納得し、詰所で待つことにした。
しかし、アビスとサンドマンをうまく利用して、エルフとドワーフの戦争を企てたのは、いったい誰なんだろう。サンドマンを取り逃したので、真相は謎のままである。
2時間くらい過ぎただろうか、詰所に、1人のドワーフの女性が現れた。ドワーフの女性は、男性よりも細く、髭もない。そして、長い髪を束にして結んでいる。
「あなた方が、ラストパサーの冒険者で、よろしいのでしょうか」
「そうだぜ。あんたは誰なんだ」
「私は、名誉王族のホワと言います。私を眠りから救っていただいて、ありがとうございます。私は、ドワーフの一族の代表として、ここにきました」
「そうだったのか。それで、どうなったのだ」
「もちろん、アビスさんのことは、許すという結論になったわ。150年前に色々とあったけれど、過去を見るのではなく、現在を見ろとの、意見だったわ。でも、結局は、あなた方が持っている、日本酒というお酒で、早く宴会をしたいのが本音ですわ。それに、サラマンダーを召喚できるエルフさんに、逆らおうなんて、誰も思わないわ」
「それは助かる。これで、依頼達成だな」
「許していただいて、ありがとうございます。全ての原因は私にありますので、処罰していただいても、何も文句を言うことはありません」
「あなたも被害者ですわ。あなたの弱い心に付け込んで、利用した黒幕が、全ての元凶ですわ。だから、あなたは、何も気にしなくて良いのよ」
「ありがとうございます。ドワーフの姫よ。あなたは、とても心も姿も美しい方なのですね。あなたの言葉を聞いていると、姉上を思い出します。やっと姉上が言っていた事を、理解することが、できました。そして、姉上が、ドワーフの王子を愛した理由も、今ならわかります」
「私は姫ではないのよ。でもお姉さん気持ちを理解できるようになって、良かったわ。あなたの力で、ドワーフとエルフの対立を終わりにしましょう。私も協力するわ」
「わかりました。ホワ様と共に協力して、必ず、150年前のような、関係に戻るように頑張ります」
ホワはアビスに近寄り、強く抱きしめてあげた。アビスは、ドワーフから許しを得た喜びから、ホワの腕の中で、涙を流して喜んだ。アビスには、ホワの温もりが、姉上の温もりに感じたのであろう。
「おっ、あの2人いい雰囲気じゃないか」
「トール、余計ことは言うな」
「でも、面白そうじゃないか」
「そうですわ。どうなるかワクワクですわ」
ポロンさんとトールさんの視線に気づいて、ホワとアビスは、そっと離れた。
「2人が邪魔するから、離れました」
ホワとアビスの顔は真っ赤になっていた。2人とも、かなりお互いを意識しているのだろう。でもエルフとドワーフが仲が、良いのいい事である。
私たちは、ホワさんに連れられて、7巨星王と名誉王族のいる大きな広間に連れて行かれた。もちろん、竜光石の話しではなく、日本酒のさいそくであった。
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