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パースリの町パート1
「酷い目にあったなルーク。まさかババァが、俺を町から追い出すなんて、想像もしてなかったぜ」
ローガンが悪態をつく。
「これからどうしようか」
「そうだな、俺の町へ行こう。ローガンには、高い賃金で、門兵をさせてもらっていたし、しばらくは、俺の実家で面倒をみてやるよ。」
「それは助かる」
そういうと、2人はパースリの町へ向かった。パースリへの道のりは、昼間は魔獣もほとんど出ない、安全なところだ。たまに、森から抜け出た、魔獣があらわれるが、さほど強い魔獣は出てこない。
「もうすぐ町だな。日もだいぶ暮れてきたが、なんとか、夜になる前には着きそうだな。」
キャベッジの町から、パースリの町へは、馬だと3時間くらいだ。
2人は、町を追い出された時、馬で逃げてきたので、野宿はしなくてすみそうだ。
「夜になると魔獣が出るから、急ぐぞローガン。」
「わかってるぜ」
魔獣の中には、夜になると、活発的に森から出てきて、町周辺の動物を、食べにくる魔獣もいる。この世界では、夜に出かけるのは危険である。
2人は無事に、日が暮れる前には、パースリの門へとたどり着くことができた。
「何かおかしいな」
門が閉まっていて、門兵の姿が見当たらない。
「おい、誰かいないのか?」
ルークが大きな声で叫ぶ。しかし返事はない。
「ベアーウルフでも出たのか?それで門を閉めてるのか?」
「それはあり得るな。あの冒険者達は、ベアーウルフの群れを退治したと、言ってたけど、また別のベアーウルフの群れが、来たのかもしれないな」
「それなら俺たちは、ここに居たらやばいかもしれないな。早く門を開けてもらって、町に入らないとな。」
2人は、門を激しく叩く。
「ドン、ドン」「ドン、ドン」
「門を開けてくれ。」
すると門が開いた。
「なんだこいつらは・・・」
門が開くと、そこには、大勢のゴブリンがいた。ゴブリンに気づくと、ローガンは真っ先に、逃げ出した。
ゴブリンの群れが、ルークに襲いかかる。ルークは、腰にぶら下げていた、剣を抜きゴブリンを切り払う。
ルークは門兵をする前は、パースリの町で、衛兵をしていた。ローガンとは違い、神技も身につけていて、パースリの町の中でも、かなり実力者であった。その実力をかわれて、ローガンから破格の賃金で、キャベッジの町の門兵に、引き抜かれたのであった。
「ローガンのやつ、ビビって逃げたか。一人でこの数はヤバいな。俺もすきをみて、逃げ出さないとな」
ゴブリン単体では、討伐難度Gランクのザコ魔獣だ。でも繁殖力が高く、数が多いので苦労する。
ゴブリン1体を見たら、近くに20体はいるだろう。
ローガンは神技を発動し、身体強化をしている。
ローガンは、ゴブリンの攻撃をかわしつつ、的確にゴブリンを切りさばいている。もうまわりには、10体のゴブリンが横たわっている。
「こいつで終わりか。なんとかしのげたかな。でもゴブリンごときに門兵が、やられたとは思えない。町の中には、どんな魔獣がいるのか・・・」
ルークは町へ入るのは危険だと思った。
「キャベッジには戻れないから、トメイト村へ行くか」
その時パースリの町の門から、大きな魔獣が現れた。
「ジャイアントゴブリン…」
ジャイアントゴブリンとは、背丈が2メートル以上あるゴブリンである。ゴブリンは140センチくらいの小柄な魔獣だから、ゴブリンに比べると、はるかに大きく、強大な力を持つ。その上スピードも速い。討伐難度はDランクである。
「ヤバい奴がいるな。逃げることも不可能だな・・・。この町も、こいつらに、やられたのであろう」
そうルークは呟くと、ジャイアントゴブリンの振りかざした棍棒により、一撃で、命を落としたのであった。
「くそ、くそ、くそ、」
「なんで町に、ゴブリンがいる。何がおこっている。」
ローガンは、ゴブリンを見ると、恐怖のあまり、ルークをおいて、すぐに逃げ出した。
ローガンは、無我夢中で逃げたので、森の中へ逃げ込んでしまった。
「くそ、くそ、くそ、」
「なんで俺が、こんな目に、合わなければならないのだ。すべてあのムカつく冒険者のせいだ。あいつらさえ、俺の町に来なければ、今ごろ町で、のんびりと暮らせていたのに」
「あいつらだけは、絶対に許さない。パースリの町は、もうダメだ。かなり遠いが、王都へ向かおう。王都には、神守協会の教皇様がいる。教皇様に頼んで、あの冒険者に報復してやろう。しかし、ここはどこなんだ。慌てて森の中へ来てしまったな。とりあえず森から、出ないと危険だな。」
ローガンは、森の中から逃げ出そうと、必死に走ったのであった。
しかし、いくら走っても、森から抜け出せない。やがて、日が暮れて夜になってしまった。
「ヤバいな。真っ暗で何も見えない。とりあえず、ここで休むか。」
ローガンは木を背にして座り込む。
「くそ、くそ、くそ」
「俺は町長の息子だぞ、貴族だぞ、なんでこんなところで、野宿をしないといけないんだ。無事に森から抜け出せて、王都へたどり着いたら、冒険者だけじゃく、あのくそババァにも復讐してやる。」
ローガンは1人森の中で叫んでいた。
「ガルルルー」「ガルルルー」
「なんだ。なんの声だ。」
ローガンは、周りを見まわすと、無数の赤い点の光が見えた。
「なんだあれは。」
無数の赤い点は、どんどんローガンに近づいてくる。無数の赤い点は、ブラックウルフの目であった。
「うわーーー」
何十体ものブラックウルフがローガンに襲いかかる。ローガンには争うすべがない。
数分後には、そこにはローガンの姿はない。あるのは食い散らかされて、残った骨だけであった。
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