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悪魔との契約
「お母さまいってきます。弟2人に負けない偉大なる悪魔と契約してきます。」
と私は告げるも全く自信がない。弟達頑張り過ぎ。お姉ちゃんのハードルは、めちゃあがってるよー。と嘆きながら、私は契りの間に入って行った。
契りの間は60坪くらいの部屋になる。例えるならば、コンビニくらいなので、魔王城の部屋としてはそこまで大きな部屋ではない。
部屋の中心に魔法陣が描かれている。そこに悪魔が召喚されて、契りを結ぶのであろう。
私は部屋に入ると、魔法陣の側に立ち跪いた。そして悪魔が召喚されるように祈りを捧げた。
たぶんこのやり方で間違いないはずだ。だって部屋に入ると正面に、大きな字で、悪魔と契約するマニュアルと題して、このようにしたらよいと書いてあったからである。
祈りを捧げると、冷気が部屋を包み込み、私は凍りつくような寒さを感じた。その時、突如として魔法陣から悪魔があらわれた。
頭には凶々しい2つツノを生やし、奇怪な3つの顔があり、背中には凍えるような冷たい風を起こす翼、そして、右手には三叉槍を持つ悪魔。その名はサタン。お父様に力を与えた悪魔があらわれた。
「貴様が、先代の魔王の血を継ぐ女か。たしかに先代を凌ぐ魔力をもっているな。貴様にも俺様の力を与えてやるぞ!」
とサタンは不敵な笑みを浮かべながら、私にそう言い放った。
「ごめんなさい…」
「えっ‼︎」
サタンの奇怪な顔が、驚きの表情?と言うより言葉の意味がわからないかなような表情に変わる。
「ごめんなさい。無理です。勘弁してください。」
「えっ?? えっ!! えっ??」
サタンは自分の申し出を、断っていることを理解した。
「いや、オレのチカラを授けると言ってるねんけどなぁー」
動揺したサタンは、先ほどの強い口調から一転し、へんな関西弁ような喋り方に変わってしまっている。
「ごめんなさい。本当に無理です。」
「ありえん。ありえへんわー」
サタンは予期せぬ事態に呆然と立ち尽くしていた。
「ハ、ハ、ハ、ハ、これは面白い。まさかサタンの申し出を断る子がいるとはな。」
魔法陣からさらなる悪魔が2体あらわれた。1人はカラスのような姿をした悪魔マルファス。そしてもう一体は天使のような姿をした悪魔サマエル。
「サタンの申し出を断るなんて、面白い娘だ。俺たちが代わりに力を授けようじゃないか。」
マルファスはサタンに継ぐ実力を持つと言われる悪魔。そして、サマエルにいたってはサタンに匹敵する実力を持つ悪魔と言われてる。
「ごめんなさい…ほんとに無理なんです」
「えーーーーーーーーーー」
2人の悪魔もまたサタン同様に茫然と立ち尽くす。
「いや、キサマ、何しにこの契りの間に来たのか?悪魔と契約しにきたのじゃないのか?」
「はい、そうです。でも私・・・悪魔苦手なんです」
私は素直な気持ちを悪魔達に伝えた。だって悪魔の姿が怖いんですもの。特にサタンの後に来たカラスのような悪魔、気持ち悪すぎ!絶対に無理。
「呼び出しておきながら、失礼なんですけど、帰ってもらえると嬉しいです。」
と私は涙目になりながら、悪魔達にお願いした。
「こんな侮辱を受けたのは初めてだ!お前なんかにチカラを授けに来たのがバカバカしい。」
と怒りに満ちた表情を浮かべながら、3人の悪魔は消え去ってしまった。
私は、ほっとした表情を浮かべながら、安堵の気持ちに満ちていた。やっとあの怖い悪魔達がいなくなったのだから。
さて、私はこれからどうしよう?
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