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契りの間
何があったのだろうか?私は心配でたまらない。娘が契りの間に入ってから、もう1時間以上経っている。
弟2人は30分で、契約を終えて出てきたのに。30分でも長い方である。悪魔のとの契約は、さほど時間はかからない。
悪魔と契約して、その悪魔の力を、引き出すのには、かなりの時間がかかる。どのように悪魔の力を魔法に変化させるか、また身体能力に特化させるかは、個々の鍛錬によって、出来上がるからである。
悪魔との契約により、様々な可能性を得るのであり、すぐに強大な魔法や能力を、使えるようになるわけではない。
だから、偉大なる悪魔と契約しても、それを使いこなせる鍛錬をしなければ、意味がないのである。
逆に言えば低級悪魔でも、使い方次第では上級悪魔の能力を、超えることもできるのである。
1時間以上もかかるなんて、あの子はどんな悪魔と契約しているのだろうか、そして何体の悪魔と契約したのだろうか?
私は心配してる反面、あの子が、どれほど強大なる力を、授かっているのかという、期待のが大きかったりするのである。
「お母様、お姉ちゃんは、どうしたのかな。少し長い気がするよ。」
心配そうにカァラァは言った。
「カァラァ兄ちゃん、心配しなくて大丈夫だよ。お姉ちゃんなら、たくさんの悪魔様達が、お姉ちゃんと契約したくて、時間がかかってるのだと思うよ。」
カァラァとは逆に、リプロは、お姉ちゃんの心配をするどころか、羨望の眼差しで、じっと契りの間の扉を眺めている。
「カァラァ、リプロの言うとおりよ、ルシスは、今たくさんの悪魔達の中から、どの悪魔と契約すべきか、悩んでいるはずよ。ルシスは魔力だけじゃなく、知力もかなり高いからね。どんな悪魔の能力が、いかに有効的に使えるのか考えて、時間がかかっているのよ。」
「さすが僕の大好きなお姉ちゃん。魔力だけじゃなく、頭がいいのも、僕の大好きな理由の1つだからね」
嬉しそうにカァラァは言った。
「早く契約した悪魔様の力を最大限にいかして、お姉ちゃんの力になれるようにがんばらないと」
3人がじっと扉の前で待つこと1時間30分。その時扉から音が聞こえた。
「コン、コン」「コン、コン」
なぜか扉が開かれず、ノックされてたのである。これはおかしい。私は不安になって、すぐに駆け寄り扉を開けたのだった。
悩んでいても仕方ない。素直にこの状況を説明しよう。それしかないのだから。
私は、ほとんどの能力が失ってしまったので、今は立っているのが精一杯であった。歩くにもままならない感じで、ふらつきながら、やっと契りの間の扉まで、たどり着いた。
そして扉を開けようとしたが、扉を開ける力が出ない。この扉は、こんなに重い扉だったかしら?入る時は、何も意識せずにすぐ開いたのに。
それだけ私の筋力は、奪われたのかもしれない。実は魔石から魔力、体力、筋力等のエネルギーをもらっている、だから魔石を浄化してる今は、魔石からエネルギーを貰えることができないのである。
しかし考える力すなわち思考力、知力、記憶力などは、脳から伝わるエネルギーから成り立つので、知力等は、少しも奪われていないのである。
「ダメだよ。扉を開けれないよ」
私は、力を失ったことは後悔はしていない、だって10歳になれば、力は取り戻すどころか、チート能力を手に入れることができるのだから。
でも扉すら開けれない今の自分は、かなり苦しい状況なのである。しかも、もしお母様に理解してもらえなければ、私はどうなってしまうのだろう。そして、今の私を見たら弟2人はどう思うのだろう。
そう考えると、不安でいっぱいだ。しかし、なんとか理解してもらわないといけない。
私は扉を開けるのは諦めて、扉をノックして開けてもらうことにした。
「コン、コン」「コン、コン」
私がノックをすると、すぐさま扉が開かれた。
扉を開けてくれたのは、もちろんお母様であった。
私はお母様の姿を見ると、少し安心した気持ちになったのか、その場に崩れるように倒れたのであった。
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