幸せドアノッカー

『コンコン、コンコン』
今日も聞こえる幸せの音。
僕の幸せが沢山詰まったこの場所で、誰かも幸せを感じてくれたらいいな。

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神楽坂穏(かぐらざかおん)16歳。
僕の毎日はつまらない。

小さく華奢な身体。まるで女の子のような顔立ち。
さして頭がいいわけでも運動神経がいいわけでもなく、全てが平々凡々。

小さい頃は夢見ていた。
僕がお姫様を守って悪と戦うんだ。
僕は何でもできて、強くて、お姫様が大好きで。
お姫様も僕の事が大好き。
そんな風に誰かとお互いを大切に想い合えたらって。

でも、実際は僕はこんなだし、こんな僕なんかもし運よくお姫様と出会えても素通りされてしまうだろう。

僕の毎日はつまらない。

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この世界には男女の他にそれぞれにα、β、Ωと６種類の性が存在していた。

αは全ての頂点であり全てを導き支配する者。
βは一般人。
Ωは庇護対象であるがその性ゆえに軽視され、ヒートによる望まない性交、妊娠及び一方的に番関係を結ばれるといった危険性を孕んでいた。

だが、一方でαとΩの『運命』との出会いや、お互いを想い合っての『番』という関係は、多くのαやΩの憧れである事も事実だった。