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その調査結果を受け、ぼくの会社は宇宙開発へとシフトした。人類の亡骸を宇宙に放つ。それがぼくの今のプロジェクトだ。
水にも、土にも還れなくなってしまった人類を、ぼくは、今度は宇宙に放つ。
そのプロジェクト第1号がまさに今、打ち上げられようとしている。彼らは人類の希望となりうるのか。
人類が宇宙に放たれる。これが成功すれば、次々と人類の亡骸が、宇宙に向けて放出されることとなる。
そう考えると、どこかおかしく、ふっと笑みがこぼれるのを抑えられなかった。
じきに、宇宙にもあのゼリーが充満するのだろうか。あの広い宇宙ですら、ぼくたちの死骸で覆いつくされてしまうのだろうか。
「社長、ついにですね」
長年ともに研究を進めてきた前田がぼくにそう声をかけた。
「ああ、人類の新たな1歩だ」
今の仕事が一番楽しいのは、どうしてだろう。
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