あなたへ…

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あなたへ…

静かに降り注ぐ 柔い真冬の() 希薄な光の中 ふと歩みを止めれば 冬枯れの木立を彩る白い花を見ました 寒風に揺れる枝先を高く高く伸ばし 澄み渡る青に “白”をひらめかせる冬の桜 どれだけ見ていたことでしょう そよぐ花びらを 揺らめく梢を 目に痛い 冴えた冬空を ただ ただ 上を ずっと見ていました そうして 私は気づきました 思い出しました 芽吹きの春に爛漫と咲き誇る薄紅の桜を あなたが笑顔で愛でていたことを 寒風をものともせずに花開く冬桜のあるここは あなたと歩いた道でもあることを あの時の私は俯くことなど知らずに 隣を歩くあなたを見ていたことを
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