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「コウ様、記者の方がおみえになっていらっしゃいます」
ヘッドセットに案内ボットから通信が入る。
「こちらにお通ししてくれ」
私は飲みかけのコーヒーを急いで喉に通すと、鏡の前に歩いていき、自身の身繕いをチェックした。特に変なところはないと思うが、従来、装いに無頓着でセンス皆無の私であるからセルフチェックに格段意味があるわけでもない。銀色のドアが開いて、案内ボットが、続いて一人の女性が室内に入ってきた。
「初めまして。わたくし、宇宙ニュース局の記者をやっておりますシルビアと申します。本日は取材を許可してくださりありがとうございます」
「コウです。今日はよろしく」
案内ボットに連れられ、この宇宙郵便局の執務室を訪れたのは、目のクリクリした、うら若き女性記者であった。背丈も小さいため、童顔と相まって、まるで小動物のような印象を受けた。
数日前に取材の申し込みがあり、戸惑いつつも受けることにした。こんな何の変哲もない小さな宇宙郵便局の一職員なんて取材しても仕方なかろう、と思わないでもなかったが、特に断る理由もなかったからだ。
「では案内しましょう」
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