宇宙郵便局

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◇ 「その時、思ったんですよ。はるか彼方の星から届く手紙や郵便物一つ一つに、たくさんの想いが込められているんだな、と。それは当たり前のことなんですけど、全部オートメーションで機械的に配達するシステムの中に浸かっているとついついそれを忘れがちでね」 「分かるような気がします」 「だからね、少しでもそういうのを拾いあげてあげたいなってね。結果、幸せな結末が待っているのか、それとも不幸が待ち受けているのかは色々ですけれど、機械的に弾かれ処分されちゃうのってなんだか悲しいじゃないですか」  私の言葉をメモしていたシルビアが手を止めた。 「なるほど。お話はよく分かりました。でも、それにしても少し博愛的過ぎませんこと?」  まさかそんな鋭い指摘を返されるとは思わなかった。私は舌を巻いた。 「いやあ、さすが記者さんですね。今、言ったのはもちろん理由の一つではあるんですけど、いわば建前ってやつですね。本当はあなたと同じなんです。私も好奇心の塊でね。あ、こっからは所長にバレるとやばいのでオフレコでお願いします」  私は笑いながら弁解した。 「私は小さい頃から星々の間をめぐる旅に憧れてたんです。だからこの職業を選んだようなもんなんです。ですが、実際にはシステム管理の仕事ばかりで郵便局から全然出られない。私のしたかったことはこんなことじゃなかった。だから私は一計を案じて、惑星Rの件をきっかけに今の仕事を割り振ってもらったんですよ」
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