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◇
その頃、私は宇宙郵便局に配属になったばかりだった。ロボットたちの仕分けが問題なく行われているかチェックする仕事にもようやく慣れた頃、私はふとオートシステムに弾かれたエラー郵便物の一つに目を止めた。その宛先が惑星Rになっていたからだ。あそこは今は無人の、いわゆる廃棄惑星のはずだ。当然ながら取次をする惑星郵便局も存在しない。
私が気になったその荷物は、小さな白い箱とそれに張り付くように添えられていた一通の手紙だった。そのどちらも宛名に添えて「愛するミラへ」と癖のある字が書かれている。ミラとは恋人だろうか?
普通ならこれもエラー荷物の一つとして処分される運命だったのだが、私の好奇心はそれでは収まらなかった。隣の恒星系の惑星であることから、私は休暇を使って惑星Rに行ってみることにした。この時代、ワームホールとは別に光速航法やワープ航法が確立され、隣の恒星系ぐらいなら一日程度で行けてしまうのだ。私は同僚のジョンを捕まえて話しかけた。
「ジョン、頼みがある」
「なんだ、コウ」
「この荷物の差出人について差出局に問い合わせしてるんだが、向こうから回答が来たら私に回してくれないか?」
「自分で見りゃいいじゃねえか。あ、お前、明日から休みか」
郵便局間はワームホールを通した遠隔通信が可能であったが、脳にセットされた通信機にはそこまでの性能はない。惑星Rで受け取るには、この宇宙郵便局からデータを転送してもらう必要がある。
「まさかお前、惑星Rに行ってみるって言うんじゃないだろうな」
「そのまさかだ。ちょっと調べてくる」
「お前も物好きだな」
ジョンは既に私の性格を熟知していたので、呆れはしたものの、反対はしなかった。私はそれだけをジョンに頼むと、急いで支度をしてから出発した。惑星Rには半日で着いた。
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