塵芥にモザイク

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 観光地からも離れた鎌倉時代からある寺院は、予想通り寂れていた。紅葉の時期だというのに人がほとんどいない。 「誰もいないよ。穴場だね」  わがままに突き合せた挙句、こんな寂れた場所をデートスポットに選んでも、彼女はそう言ってくれた。近くの駐車場に車を停めると、紅葉の綺麗な境内を散策し、少し外れた山道を歩いた。 「仕事どう?」  何も言わず歩いていた私に、突然彼女が言った。 「順調ではないよ。君は、大変だよね?」 「うん。こんなご時世だし」 「ごめん、付き合わせちゃって」 「ううん。ちょうどいい気分転換になったから、気にしないで」  二人で下をむいて歩く。彼女が今している仕事はきっと何十年も語り継がれるのだろう。それなのに私の仕事は……。  そんな中、開けた場所に出た。まるでストーンヘンジのように石の像が何体も立ち、その像たちにブルーシートがかけられていた。小さな遊園地の跡だろうか、かなり不気味な場所だった。 「あれ、道を間違えたかな?」  私が言うと、彼女が答えた。 「でも遊歩道は続いているよ。とりあえず行ってみない?」  私は気が進まなかなったが、彼女が乗り気なのでついて行くことにした。冒険するのが大好きな女の子だ。
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