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検索していくと、ある求人票に目が留まる。
先月のことだった。
「あの、ここに応募してみたいんですけど」
係の人にプリントアウトした求人票を見せる。
相談するのは初めてだったし、どんな感じなんだろうと、ドキドキした。
もし、先方にどうぞと言われたら、面接という段取りになるのか。
「ああ、ここね」
「はい。今までの経験が活かせると思いまして」
「うーんと、実は求人票には大っぴらに書けないけど、向こうさんはお若い方を希望しているんですよ。失礼だけど、中山さん50歳でしょう」
「ああ……はい」
35歳の壁というのを聞いたことがある。この時代、そんな考えは過去の遺物だと思っていた。やはりいまだに存在するのか。
「ああ、でもスキルや条件は合いますものね、お近いですし。求人票では、59歳までって書いてあるんですからね。応募してみましょうか」
係の人は上目づかいでこちらを見る。だが、私には先方の状況がありありと想像できた。
「若い人がいいって言っておいたのに、こんなおばさんが応募してきた」
そんな風に言って、履歴書をポイっとぞんざいに放る。そんなみじめな扱いは耐えられない。
「あの……いいです。別のところを探します」
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