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1週間後、我が家でスイーツスクールを開いた。
「やーん、久しぶりー!」
由美子さんもしのぶさんも相変わらず、にぎやかだった。二人とも、あの頃より顔が丸くなっている。
「じゃあ、今日は二通りの作り方で作ってみるね」
「え? できるかな」
「大丈夫よ」
材料は、二つ分の分量をそれぞれ計量する。
「料理は目分量でもできるけど、お菓子作りは、計量が命。でも計量をしっかりすれば、間違いなくできるから」
まずは、バターを使う作り方だった。
「バターと砂糖と小麦粉と卵の4つを同じ分量、使うの。フランス語でカトルカール。4/4ていう意味なの。英語でパウンドケーキって言うのは、材料を1ポンドずつ使うから」
「うわあ、けっこうな量のバターや砂糖ね」
3人は、目を丸くする。
「これでも、出来上がるとそんなに甘く感じなかったりするからね。市販のケーキはどんだけ砂糖入ってるんだって思うよ。今日は基本的なものを作るから、自分で作る時は加減してね」
ボウルにバターと砂糖を入れて、泡立て器で混ぜ始める。
「そうそう、これが上手くいかないのー」
麻実さんが眉を下げる。
「そんな時にはこれよ」
電動のハンドミキサーを取り出す。
「あ、なあんだ、文明の利器」
「私は、白っぽくなるまで混ぜるっていうのが、どの程度なのかわからないの」
しのぶさんからも経験者らしい質問が出る。
「もったりとしているのが、ふわっとしてくるのよ。そのあたりまで混ぜるかな」
その感覚をわかってもらうために、代わる代わるミキサーを使ってみる。
黄色かったバターが、白くなってきた。
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