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「口直しにどうぞ?」
いつ持っていたのかって聞きたくなってしまった。
何故なら、目の前には、ペットボトルの水。
ミネラルウォーターだった。
「あ、あの?」
ますます戸惑う私に櫻井さんは首を傾ける。
「水は嫌い?お茶が良かったのかな。でも、好みもあるし。」
どうしようと落ち込みそうになる櫻井さんに。
「い、頂きます。ありがとうございます、やっぱり、ご飯には水ですよね?」
うんうんと言いながらペットボトルの水を貰うことにした。
「良かった!」
パンッと両手を叩いて喜ぶ櫻井さんに、小さく安堵の溜息をついた。
初対面から図々しいぐらいに接近されるのは苦手だけど、彼女なら苦にはならないのよね。
なんでだろ?
不思議な親近感があるのは。
なんやかんやで、ぺろりとおにぎりを二つ食べてしまう。
「櫻井さん、ごちそうさまでした。」
ニコッと微笑んだ私に、櫻井さんは極上の笑みで微笑んだ。
「もし、良かったら、また作っていいかな?今度は、もっと味が濃厚なもので。」
「え?でも。」
「私がしたいの。仲良くなりたいし。ね?」
蕩けるような極上の笑みを浮かべる櫻井さんに反論の言葉が出ない。
「私と仲良くしたら上條さん達に目をつけられるわよ。」
やっと出た反論の言葉が出たと思った途端に、目の前が歪み始める。
な、に?
身体が崩れそうになる手前に、櫻井さんが支えていた事に気づいた。
「‥‥‥‥‥‥‥大丈夫?」
心配そうな櫻井さんの声が聞こえてくる。
「大丈夫。」
そう言いたいのに、声がカラカラになっている事に気がついた。
【やっぱり拒絶反応は出るのね。】
あと、心配いらないわ、上條さんだっけ?
彼女達なら大丈夫よ。
何か櫻井さんが話している、そう思いながらも顔を上に上げる。
すると、ぺろりと唇を舐めた櫻井さんの表情が綺麗に見えた。
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