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暫く歩いていると見えてくる早坂高等学校。
春になると、綺麗な薄ピンク色を咲かせた桜並木が歩道に植え付けられ、それが学校の前まで続いている。
まるで、桜並木道のようだ。
風が吹けば桜の花びらが舞うように踊る。
まるで未知の世界へ足を踏み込まれるような感覚な景色。
地元では有名な学校でもある。
今の時期は新学期が始まって、まだ二週間。
だから、桜も今は見れるのよね。
またもや、思い出す遠い過去。
あの過去の場所も桜は綺麗だった。
″━━━━━━また泣いているの?″
ふと思い出す声。
誰だったんだろう、あの人は。
思い出そうと記憶をた辿ろうとした時、頭を締めつける痛みに足を止めた。
「━━━━━━ツツっ。」
顔を顰める。
「大丈夫、結衣?」
私の行動に気づいた夏穂ちゃんが歩く足を止めて駆け寄ってくる。
「━━━━━━━━うん、なんとか。暫くしたら治まるから。」
心配をかけないように、わざとへらりと笑った。
「ねぇ、結衣。やっぱり、一回ちゃんとした病院に見せてもらった方がいいんじゃないかな?」
へらりと笑う私とは対称的に夏穂ちゃんは不安な顔をして見てくる。
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