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転校生の話題をしながら、暫く歩いていくと見えてきた、早坂市立高等学校と書いてある学校が見えてくる。
「おはよう。」
これまた太陽に負けないほど明るい声を出す男性が、校門の前に立っていた。
紺色のスーツを着た男性に、私達も頭を下げながら挨拶をする。
「おはようございます、名原先生。」
「如月。和樹はまた遅刻か?」
呆れたような声をする男性に、夏穂ちゃんは苦笑いをする。
「そうみたいですね。」
「全くアイツは。」
はぁと息を吐き名原先生は首を振っている。
その様子を見ていた夏穂ちゃんは、急ぎ忍び足で去ろうとしていた。
「え、夏穂ちゃん?」
急いでいる夏穂ちゃんに動揺しながらも一緒に合わせる。
「如月、水無月、ちょっと待った!!」
私達の動きを見抜いた名原先生が声を出す。
「な、なんでしょうか?和樹と私は一緒に住んでいますが。」
足を止めた夏穂ちゃんの顔が引き攣っている。
無理はない。
二卵性双生児のゆえなのか、夏穂ちゃんはたびたび和樹君の私生活を聞かれる事がある。
今回もかと思った夏穂ちゃんを見て名原先生は申し訳なさそうにしていた。
「いや、そうじゃない。今回転入生が来るんだが、君達のクラスに決まったからよろしくな。」
「はい?」
私と夏穂ちゃんの声から間抜けな返事をする。
「あとで知るよりは先に知った方がいいと思ってな。かなりの良い生徒だぞ。」
ふふふと笑う名原先生に、私と夏穂ちゃんは顔を見合せた。
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