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ようやく二年生になって、学校内の雰囲気には慣れたけど、相変わらず、あの先生だけは苦手だ。
目の前を、一人を囲んで騒ぐ女子生徒達の姿が見えた。
朝から元気よね。
まあ、無理も無い。
芸能人かと思うほどの雰囲気を放っているもの。
あの人だかりの中にいる人物は。
この先生がいたら選びはしなかったのに。
「夏穂ちゃん、行こう。」
あの集団に気づかれないうちに足早に去りたい。
鞄を持つ手に力を入れて歩く足を早める。
「え、結衣?待ってよ。」
私の異変に気づいた夏穂ちゃんが声を荒らげる。
けど、目の前にいる集団に気づいたのか顔を顰めていた。
「なるほど、ね。行こう、結衣。」
私の歩く足幅に合わせて夏穂ちゃんも歩く。
その集団に気づかれないようにと通りすぎようとした。
「Good morning、Miss如月さん。Miss水無月さん。」
綺麗な発音。
井戸水から汲み上げた新鮮な水のような濁りのない音。
「………………おはようございます、広瀬真(ヒロセマコト)先生。」
私と夏穂ちゃんは、顔を見合わせて歩く足を止めて、その声に反応をする為に振り返り返事をする。
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