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靴を上履きに履き替えて教室へ向かう為に歩き出す。
慌てて走り出した女生徒の何人かがわざとらしく私の肩にぶつかってくる。
「あ、ごめんなさい?水無月さん。」
意味深な笑みを浮かべて見る相手に無言を突き通す。
「ちょっと、今のはわざとでしょう?」
ぶつかったうえ謝りもしない相手に夏穂ちゃんが怒りを露わにする。
「あら?わざとだったかしら。」
挑発的な発言をしながら、尚もフフンと唇を歪めて笑う女子生徒。
制服のスカートの丈は今にも見えそうなぐらいに短い。
何をしに学校へ来ているのでしょう?なんて思うのは閉まっとおく。
「夏穂ちゃん、いいよ。行かないとホームルームが始まるよ。」
ぶつかられた肩を軽く叩いて足を動かそうとした。
「待ちなさい!!」
声を荒らげる女子生徒の声を聞いた他の生徒達が何事かと集まってくる。
「その表情が気に入らないのよね。関わりたくないという表情。美人だからって高飛車のつもりかもしれないけれど。」
イライラしながらみる女生徒に小さく息を吐いた。
高飛車なんかしていません。
美人って自覚もない。
ただ、この顔だけが嫌いなの。
反論すれば焼け石に火がつく。
めんどくさい。
あの時から、厄介事には関わりたくないのに。
どうしても招いてしまう。
「嫌いなのはわかるけども、高飛車してるつもりなんてないわ。行こう、夏穂ちゃん。」
「え?う、うん。」
不穏な空気のまま、何事もなかったように歩こうとする私に夏穂ちゃんは驚いたように戸惑っている。
「……………………冷静な水無月さん。私ね、従兄弟がいるの。その従兄弟からある話を聞いたのよ。」
「………………………。」
挑発的な言葉に私は無言で歩き出す。
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