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教室へ入った途端空気が変わる。
高校生なのに、何故に妖艶な雰囲気を纏っているのだろう。
真っ黒な色をした髪は、まるで漆黒の闇のような深い黒。
なのに、柔らかそうな髪にそれを忘れてしまう。
この世とは思えない程の超絶美人。
例えにするならば日本人形の女の子が生き返ったようだ。
スタイルも抜群で脚が長くて、日本人独特の胴長短足では無い。
綺麗な顔つきに似合うようなパーツ。
何から何まで完璧すぎる転入生に、クラスメートの誰もが声を発しない。
異様な雰囲気に気がついた名原先生は、はっと我に変わり咳払いをした。
「彼女、櫻井さんは両親の都合で急遽転校をしなくてはならなくて、時期はズレたが仲良くしてくれればと思っている。」
だよな?櫻井さん。
何故か名原先生は確かめるように転入生へ聞いている。
「はい。急遽、両親が仕事の関係で海外に行く事になりまして。私だけここに残る事になりました。」
ニコッと名原先生へ微笑む。
すると、ゆでダコのように真っ赤になっていく名原先生。
その光景を見た女子生徒達からは呆れたように口を開く。
「男って、本当に美人に弱いんですね。どこかのだれかさんみたいに。」
刺々しい発音に私は軽く首を傾ける。
誰だろう?
その女子生徒の言葉を聞いた櫻井さんは、ニコッと笑った‥
「改めて自己紹介をします。私の名前は櫻井瑠花(サクライルカ)と申します。女の子とも仲良くしたいので。そのようなトラブルは作りません。もちろん、クラスメートのみなさんも。だから、宜しくお願い致します。まだまだわからない事ばかりですので。」
すると、両手を合わせて頭を下げる。
その綺麗な所作に、嫌味を言っていた女子生徒が口を噤んでしまった。
お手本になりそうな所作。
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